LGBT・セクシュアルマイノリティに対する的確な理解を


最近ようやく目にするようになったLGBTとは、L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシュアル)、T(トランス)の総称です。

しかし、ひとくちにT(トランス)といっても、この違いがわかる方はどれほどいらっしゃるでしょうか。

①トランスジェンダー
②トランスセクシュアル
③トランスヴェスタイト

そしてこれらに加え、④「性指向」というものが別ジャンルとして絡み合い、一人の人間の「人格」となるということを、多くの方がまだ理解できていないように思います。
ジェンダーやセクシュアリティの問題というのは個人により強弱のグラデーションが異なりますし、極めてデリケートな内容なので説明がむずかしいのですが、個人の尊厳を語るうえで外せない課題ですから、一度はしっかりと言及しておく必要があるでしょう。

 

まず導入として、「トランスジェンダー」から説明します。
「性同一性障害」という言葉がポピュラーになったので、「これならわかる」、という方が増えたのではないでしょうか。トランスジェンダーとは、生まれ持った体の性別と心の性別が異なる状態です。「障害」という単語は差別的だという意見も多く聞きます。

そして次が「トランスセクシュアル」ですが、これは生まれ持った身体の性別と、性自認が異なる状態です。
自分の体の性別に違和感を覚え、「男の体を手術して女に変えたい」「女の体を手術して男に変えたい」と、ホルモン注射を打ったり、実際に手術したりして身体を改造するケースのことです。

次にトランスヴェスタイトであるが、これはいわゆる「女装」「男装」パターン。「手術して体を変えることまではしなくてよいが、異性の装いはしたい」という異性装のケースです。

 

わかりやすい例を挙げてみましょう。
まず、マツコ・デラックスさんは、どのカテゴリーにいらっしゃるかおわかりでしょうか。

マツコさんは、性自認が女性の「M(男)T(トランス→)F(女)のトランスジェンダー」であり、化粧も女装もなさっているので同時に「トランスヴェスタイト」でありますが、手術はしておらず「トランスセクシュアル」ではない。もしかしたら「トランスセクシュアル」願望はあるのかもしれませんが、そこは不明なので、現時点での判断をさせていただきます。

次に、はるな愛さんはどうでしょうか。彼女は「MTFのトランスジェンダー」であり、かわいらしい装いを好むことから「トランスヴェスタイト」でもあり、手術もなさっているので「トランスセクシュアル」でもあることがわかります。

ではクリス松村さんは?
クリスさんは「MTFのトランスジェンダー」のようですが、女装はしないので「トランスヴェスタイト」ではなく、身体も手術していないので「トランスセクシュアル」でもない。

 

ここまでは、「ふんふん、なるほど。納得」と思われる方も多いのではないでしょうか。
しかしジェンダーの問題というのは、それだけで終了する単純なものではないようです。
この類型の先にある、「性指向」の問題が入り込みます。
その絡みが複雑多岐ゆえに、そこから先がまったくというほど理解されていないのが現状ではないでしょうか。

T(トランス)の問題と「性指向」の問題は、別カテゴリーに存在します。それゆえに混乱がおき、理解がすすまないようです。

 

先ほど例にあげたマツコ・デラックスさん、はるな愛さん、クリス松村さんは、三名とも「トランスジェンダー」であり、恋愛対象となる性指向が「男性」であるからこそ、世間から見たときに、「ああ、ゲイのパターンね、オネエのパターンね」と、ひと通りの理解が得られるのだと思います。

しかし、「MTFのトランスジェンダー」だからといって、性指向が必ずしも男性に向くと限らないことは、まだ一般人の感覚としては受け入れられていないと感じます。

 

たとえば、ここにある高校二年生の男子がいると仮定します。

彼は「MFTのトランスジェンダー」であり、性自認は女性です。
そのため、男子の制服を着用し、通学すること自体をとても苦痛に感じています。毎日男子トイレを使わなければならないことにも、耐え難いストレスを感じています。
彼は、身体を手術したいとまでは思っていませんが、「女子のスカートはきたいなあ」「お化粧して髪を伸ばして巻いてみたいなあ」と感じ、毎日うらやましい気持ちで女子を眺めています。

 

しかし、彼の恋愛対象は女性です。男性ではないのです。
トランスジェンダーが必ず同性を好きになるわけではないのです。ですから、彼は同じクラスの女子と両想いになり、付き合い始めました。

高校を卒業し、晴れて制服のなくなった彼は、ようやく本来の自分を表現できるようになりました。化粧し女性の服を着て、髪をのばしネイルアートを施し、ヒールをはいて大学に通っています。もともと細身の体系だったため、どこから見ても女性です。

ところが、高校のときに付き合い始めた彼女とは、まだ交際が続いているのです。交際相手の女性は、彼のトランスに一定の理解を示してくれています。ですから二人にとっては楽しいデートも、はたから見れば、女友達同士が仲良くショッピングしているようにしか見えません。
しかし、ふたりの間には依然として恋愛感情があるのです。

 

これを「トランスジェンダーレズビアン」といいます。
身体は男ゆえに「女性の気持ち」を持つ「トランスジェンダー」であるが、性指向は女性に向いているため、結果的に心の部分はレズビアン状態であるというパターンです。

このケースでいうなら、彼は女装したまま女性として社会生活を送りながら、結婚して子供を設け、形式的に「父親」として家庭を築くことも可能なのです。

ちなみに「トランスジェンダーゲイ」や「トランスジェンダーバイセクシュアル」もいるので、本当にトランスと性指向は複雑で、グレーゾーンが限りなく広いといえます。

 

先日、女装して授業をする東大教授の安冨歩(あゆむ)教授の話が記事になりました。
安冨教授は、ある時期から急に女性性を自認して、女装をはじめたといいます。以前の彼の写真を見ると、髭の濃い、見るからに男性然とした男性です。
安富氏が女装に目覚めたきっかけは、「女性もののパンツ(スラックス)をはいてみたら、妙にしっくりして安心した」ことだといいます。ご本人によると、それをきっかけに自分の心が女性であるというトランスジェンダー認識にたどりつき、トランスヴェスタイトとして、女装することで生きやすくなった、ということです。

さらには、「今までも女友達のほうが多かった」「女性の輪の中にいる方が落ち着く」など、トランスジェンダーだと認識すると、自分でも腑に落ちることがぞくぞくと出てきたそうなのです。

しかし、安富教授の場合も、性指向―――恋愛対象は女性なのです。二度の結婚相手も女性、さらに現在のパートナーも女性であるというから、まさに「トランスジェンダーレズビアン」の典型パターンといえるでしょう。

 

ジェンダー、セクシュアル、性指向の問題というのは、その人がその人らしく生きるための根幹となる、まさに人間としての尊厳にかかわる核心的部分であり、個人の精神的自由に直結する人権問題でもあります。
決して色めがねで見ることなく、各自が正確な知識と理解を得るよう、努力する姿勢が望まれます。

学校や会社の制服、名刺、トイレ使用、着替えロッカー、スパ銭湯等の公共施設、ブライダル業界での対応、相続、戸籍、同性婚―――。

この先進展してゆくであろう教育機関や、職場環境配慮や、社会法整備についても、個人の心情にきめ細やかく配慮した、真摯な姿勢で向き合いたいと思うのです。

 

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
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