カテゴリー別アーカイブ: 料理&文学

だいこんの葉

小学生の頃、ゆりちゃんという友達がいた。
実家がクリーニング屋を営んでいたが、そのわりに彼女の着ている服はくたびれていた。きょうだい姉妹も多く、片田舎の中流家庭に育ったわたしの目からみても、あまり裕福な家庭とはいえなかったようである。

一度だけゆりちゃんの家に遊びに行ったことがある。

昼間の早い時間帯ということもあり、家の人は誰もいなかったが、6畳ひと間くらいのスペースに家族全員で生活している痕跡が見られ、ひそかに驚いたことを覚えている。

遊びに来た私を、ゆりちゃんは給食の残りの食パンをおやつとして振舞ってくれたのだが、私はほとんど食べられなかった。

帰り際、玄関脇の発泡スチロールの箱の中の土を盛った花壇に、切り落とした大根の葉が植えてあった。そのしなびた緑色が、今でも私の目にぼんやりと焼きついている。

 

だいこんカット野菜(野菜はどんな野菜でもOK。適当にカットする。私は大根の葉も使います)

 

ゆりちゃんは中学卒業後、美容室に就職したと風のうわさで聞いた。高校に通い始めた私がある日、学校帰りに美容院を訪れると、そこにゆりちゃんがいた。まだ見習いで、箒を使ってそうじをしたり美容師さんにカーラーを手渡したりと、雑用が彼女の主な仕事であった。

向こうも私に気づき、照れくさそうにちょっと会釈などしてくれたが、私は何だかバツが悪くて、挙動不審な態度と中途半端な笑顔しか返せなかった。カット中もずっと落ち着かず、いすの上でもそもそと変な動きをしていた。
せめて制服ではなくて私服ならよかったと、学校帰りの「ついで」に美容院に立ち寄った自分の軽率さを悔いた。

 

みぞれ鍋煮る前(群馬の銘酒「水芭蕉」。野菜を巻いた豚肉を鍋にセッティングし、日本酒を注いで蓋をして蒸すだけ。調味料はゼロ。)

 

小豆島出身の女性作家、壷井栄の『大根の葉』は、書中全般にわたり貧困に満ちている。タイトルの通り、大根の葉を食べるくらい農民はみな貧しいのだ。飽食時代のヘルシー嗜好から食べる大根葉ではなく、ものがなくて仕方なく食べる大根葉である。

しかし文中から感じられるのは陰鬱な空気ではなく、著者の持ち味である母性と愛情、人間としての心の豊かさだ。

白内障の子供の目が少しでも良くなるよう貧乏な中を奔走し、改善の兆しが見えたことを心から喜び、手術代の工面のため死ぬ気で働くと決めた母親の覚悟が、読む人の心を打つ。
全編は泥臭いけれどもあたたかい。

ネガティブな現実を、前向きに精一杯生きる人々の姿をつまびらかにすることで、著者は戦争も貧困も、静かに抗議しているのではなかろうか。

みぞれ鍋完成(完成。生の大根おろしをたっぷりとのせて。たれはポン酢と栗のはちみつ、麺つゆと生醤油。)

 

思えば雑穀米も大根葉も、昔は貧乏の象徴であった。
しかし今、それらはローカロリーで滋養の高い健康食品として尊ばれている。貧困だ不幸だと決めつけるのは、一方向からの得手勝手な見方で、その実豊かな本質がひそんでいることもある。

ゆりちゃんの人生も然り、だ。
制服姿の自分に引け目を感じたことすら、私の驕りだったのかもしれない。

人は不幸の種を見つけることはたやすい。しかしどのような逆境からも幸福の芽を見つけ、満身創痍で育ててゆく努力のできる人こそ、真の教養人といえるのだろう。

その点において、わたしはまだまだ修行が足りない。

みそ汁みぞれ鍋完成(大根のみそ汁には、残った野菜も放り込んで。油揚げは油抜きをしたのでローカロリー。)

 

 

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(有馬珠子のあめぶろ)
多様性を認め、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす。職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

 

青いスープ

「長野まゆみ」という小説家をご存じだろうか。彼女の著書には、めくるめく魅惑的な名称の料理が多く出てくる。
著者ご自身が相当の食いしん坊なのだろう。食べ物を記載するときのディティールに、並々ならぬ情熱を感じる。

彼女の書下ろし長編小説に、『碧空』という作品がある。

凛一という主人公は、幼い頃に両親を亡くし、祖母のもとで華道家元を継ぐべく修業を続けていた。十四歳のとき、ひょんなことから一級上の氷川享介と出会い、恋慕の情を抱く。
氷川は京都の大学へ進学し、フットボール部で活躍する。彼は凛一の気持ちに気づきながらも深追いすることはなく、友人として、つかず離れずの関係を保つ。

高等部に上がった凛一は、氷川へのもどかしい想いを持て余しながら、写真部に入部し写真を撮り始めるのだが、そこで有沢改という謎めいた上級生に出会う。彼は凛一を写真のモデルにしたいと誘うのだった。
有沢もまた、凛一と同じく、孤独な家庭環境にあった。行きつけの舗でドライ・ジンの入ったgimletを飲みながら頼もうとしたのは「洋風かき揚げ」と「白隠元の冷製ポタージュ」。

アスパラポタージュ材料(アスパラガスの冷製ポタージュを作る。アスパラガスの旬は短い。食べられるときにひたすら食べる)

 

高校生の有沢は、家に帰れば祖母の作った老人食ならぬ「精進料理」があるが、育ち盛りの口に合わず、惣菜を買ったり外食ですませたりしている。
有沢行きつけの舗は、クラブまがいの無国籍な雰囲気の薄暗い店舗。後輩である凛一を強引に誘ったはいいが、「そろそろ帰りませんか」と促されると、「まだいいだろう」と、酒のほかに件の料理を注文しようとする。何とか凛一を引き留めようとする有沢もまた、孤独であった。

氷川への気持ちを捨てきれないが、有沢にも魅かれ、孤独な心を乱す凛一。離れ離れになりながらもお互いを求める少年たちの想いの行方が、長野まゆみ特有の美しい描写で書かれている。

 

アスパラポタージュ鍋(玉葱とじゃがいもを10分ほど蒸す。アスパラガスは時間差で、7~8分したら放り込む。

 

旬の野菜をポタージュにするのが好きだ。

「碧空」書中の「白隠元の冷製ポタージュ」もおいしそうだが、私は色味が美しいアスパラガスをよく使用する。
作り方はとても簡単で、蒸してやわらかくした野菜をミキサーで挽き、コンソメや豆乳で味を調える。
ポイントは、皮も芯もなるべく残すこと。
野菜の栄養とうまみがぎゅっと凝縮される。オイルも使わずヘルシーだし、なにより舌触りがなめらかで、口のまずい朝でもするりと入る。

アスパラポタージュ完成(辛料はホワイトペパー、ディルウィード、エストラゴン、コンソメ)

アスパラポタージュ完成パン付(TOHOベーカリーのバターロールを使用。カリッと焼いたベーコンとたまごのシンプルサンド)

 

物語の中で有沢と凛一は写真部に所属していたが、わたしは高校のとき地学部に籍を置いていた。県下一の天体望遠鏡を備える学校だったので、ものめずらしくもあったし、鍵を借りて屋上に出られる特権も魅力であった。

屋上を使用できるのは、太陽の黒点観測を日課とする地学部と、発声練習目的の演劇部だけだったので、屋上を秘密基地にできる優越感があったのだ。
新入生勧誘のときに振舞われたココアと群馬銘菓「風の子」に、義理を感じて入部したという事情もあったが。

地学部は、夜間の部活動も行っていた。流星群の時期には、学校に泊まり込んで屋上で天体観測することが許された。
親とそりの合わなかった私は、「天体観測」と称して、夜中学校に泊り込んで友達と過ごせる部活動の時間が、何より貴重で楽しかった。流星を見ながら皆で毛布にくるまり、屋上でお茶や珈琲やカップスープを飲んで過ごしたのだが、寒空の下、粉末の即席スープがとても美味しく感じられた。

あの美味しさは、「寒空の下」という気候条件のせいだけではなかった。

自分のことしか考えず我を通し、ふてくされて親と口もきかず、仲間と好きなことだけをして過ごしたあの時期の、若さゆえにご傲慢で自由な、期間限定の味だったからだ。

長野まゆみの『碧空』を読むと、旬のアスパラガスよりもまだ青かった、あの頃の未熟な自分をかいま見る。
少年から青年への、せつない端境期のものがたりである。

アスパラ原稿のラファ「あなたは今でも青いですよ」

(有馬珠子のあめぶろ)
多様性を認めて、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす。職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

イリュージョン

今はもう、会わなくなった友達のことを書こう。

愛ちゃんは、わたしが塾講師をしていたとき、事務のアルバイトをしていた子である。たしか当時、24~25歳。アルバイトをかけもちしながら、脚本の勉強をしていた。
家族をテーマにした自作のドラマ脚本を、見せてもらったこともある。心に傷を持った人たちが寄り添って笑う、ほんのりあたたかくて、少しさみしい物語だった。

愛ちゃんは、ちょっと眠そうな奥二重の目と、ふっくらした頬が日本的でかわいらしく、ともすれば十代にも見える童顔だった。ふたりで吉祥寺の「ボガ」という、昭和の香りただようレトロな喫茶店で、ときどきお茶をした。なぜか彼女とは、スタバなどには入らなかった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
(ムング(緑豆)入りミネストローネ・材料)

 

その愛ちゃんが、「これ、わたしの大好きな本なんだ」と教えてくれたのが、リチャード・バック著の『イリュージョン』。

「リチャード・バックの本はね、すごくいいの。夢が夢で終わらないってことを教えてくれるから。この人の書いた本ではね、『かもめのジョナサン』もすっごくいいんだよ」とのこと。

『かもめのジョナサン』も、わたしは愛ちゃんに薦められて、改めてしっかりと読んだのだ。まるで児童書のように平易な文章で書かれている短編なのだが、名作だ。シンプルかつ高尚で、洗練された人生の手引書のようである。

 

『イリュージョン』は、飛行機乗りのリチャードと、自称「元救世主」のドナルド・シモダとの出会いから始まる。
ドナルドはかつて、「救世主」として崇められた過去をもつ人物だが、あっさりとその地位を捨て、放浪の旅に出た。

リチャードは最初ドナルドのことをいぶかしんでいたが、彼の起こす数々の奇跡を目の当たりにし、徐々に心を解いていく。また、ドナルドの「人間はどこまでも自由である」という考えに魅了され、リチャード自身も、自らに強いていた限界を解いていく。

「どんなことであれ、傷つくか傷つかないかは本人が選択することだ」。
最悪の状況に陥ったときでさえ、私たちの心には自由な選択権があることを、ドナルドは目の前につきつけた。


私は一度だけ、一人暮らしの愛ちゃんのアパートに遊びにいったことがある。
今となっては場所もうろ覚えなのだが、吉祥寺からさほど離れていない、井の頭線沿線のどこかの駅だったように思う。二階にある愛ちゃんの部屋は、ものは多いがきれいに片付いていた。

「昨日、彼が来たんだ。これ、彼が好きだから。残り物で悪いんだけど」
と、ミネストローネを振舞ってくれた。

愛ちゃんの作るミネストローネは、私の作るそれとは違い、基本に忠実な優しい味だった。ムング(緑豆)もマカロニもズッキーニもパプリカも入っておらず、じゃがいもと玉葱と、にんじんとセロリとベーコンの、シンプルな材料。仕上げには、生のパセリを刻んでくれた。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(ムング(緑豆)は水に浸してやわらかくする)

 

『イリュージョン』の作中でもリチャードがミネストローネのようなスープを作っている。
「あり合わせの大豆、乾麺、三日前の料理の残りのソーセージを材料にして、グーラッシュ(ハンガリーのシチュー料理)のようなものを作った」と書いてある。

私の作ったミネストローネのほうが、豆やパスタ類が入っているだけ、作中の料理には近いようだ。いずれにしても、飛行機乗りの彼らは屋外で作り食べるのだから、美味しさもひとしおだろう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(圧力鍋に。作ったのがハロウィンシーズンだったので、パンプキン型のマカロニをチョイス)

 

さて、愛ちゃんのこと。

愛ちゃんの彼は、結婚していた。
しかし離婚は秒読みで、すでに夫婦は別居しており、小さい子供は奥さんが手元で育てているという。
「大丈夫なの? ちゃんと離婚してくれるの? 口先だけじゃなけりゃいいけど」
私は余計なお世話と知りながらも、つい心配してそんなことを言ってしまった。

「大丈夫。でも、けじめがつくまでは一緒には住めないって。わたしは毎日一緒にいたいんだけど……。本当はいつでも、彼の側にいたいんだ。だから今は、やっぱり寂しい」

愛ちゃんは、目をキラキラさせてキッパリと言った。
「でも絶対、わたしは彼と一緒に生きていくから」
彼女はミネストローネを食べるスプーンを持つ手を、急に強く握りしめ、食べる速度ををあげた。

あどけない子供みたいな愛ちゃんの、どこにそんな情熱が潜んでいるのかと驚くほど、彼女はその恋に一途だった。

 

当時の愛ちゃんは『イリュージョン』を読み、わたしとは違う想いを抱いていたに違いない。

「心に描いたイマジネーションは現実化する」
「人間はどこまでも自由で不可能はない」
「傷つくことさえ、自らが選択するかしないかだ」

これらを教えてくれるこの本に、彼女は自分の未来と希望を託していたのかもしれない。彼との未来が、彼の心が、「イリュージョン」のように、ふいに掻き消えてしまわないように。

あの頃の愛ちゃんは、折れそうな自分を必死で奮い立たせ、しきりに覚悟の拠りどころを探していたように思う。きっぱりと言い切ったあの強い言葉も、不安を拭うため自分に言い聞かせた、一種の宣誓だったのだろうか。

私が塾を辞めてからは、愛ちゃんとは1~2回お茶をしたが、そのうち忙しさにまぎれ、その後はなんとなく連絡が途絶えてしまった。

良い本を教えてくれた愛ちゃんが、今、幸せであればいいと思う。

ミネストローネ・完成

(完成。天然酵母のくるみパンを添えて)

 

秋刀魚のエスニック蒲焼トロロそば

江戸時代の小説 「諸国里人談」 には、奇妙な話や不思議な話がたくさん出てくる。

正徳年間、江戸神田鍋町の小間物屋の小僧が、いわゆる「神隠し」にあった。数十年後、ひょっこりと帰ってきた際、手にしていた土産が 「トコロ」 (トロロの語源?)、山野に自生する山芋であったという。

秋刀魚のエスニック蒲焼トロロそば.材料メイン材料。蕎麦は「茂蔵」の豆乳麺。おいしい。

 

なぜ「トロロ」だったのか?
神隠しの伝承として、必ずといっていいほど残されているエピソードが、「長い年月を経てひょっこり帰ってきたのに、その姿は昔と変わらず若いままだった」 というものである。
おそらく姿が変わらなかったというのは、年をとることのない、時間の概念のない異空間に紛れ込んでいたからであろう。土産の「トロロ」は、若さの暗喩なのかもしれない。

実際に山芋は、カリウム、ビタミンC、ビタミンB1、などのビタミン類が豊富。さらにはでんぷん分解酵素のアミラーゼを大根の3倍も含み、でんぷんの消化を促す。

太りにくくヘルシーで、美肌にもよいアンチエイジングな食物なのだ。私はもっと、トロロライフを満喫しようと思っている。

秋刀魚漬け(秋刀魚をエスニック風のたれに漬け込む。たれはオリーブオイル、バルサミコ酢、ナンプラー、かつおだし、生醤油、ブラックペパー、コリアンダー、カイエンペパー、そばはちみつ、米飴、マジックソルト、すりおろしにんにく)

この「たれ」は、和とも洋とも伊ともアジアンともとれる、不思議なたれである。今回は秋刀魚にしたが、サバやかじきにも合うし、鶏肉や豚肉や牛肉にも合う、まさに摩訶不思議な魔法のたれなのだ。

ちなみに「SARRASIN」とは、そばの花から採れたそばはちみつ。
色が黒くて味も黒糖のよう。そば料理には、やはりよく合う。

 

秋刀魚たれ(薬味の準備。たれの半分はそばに絡めるソースにするので、とっておく)

 

さて、神隠しではないのだが、「あちらの世界」のことで不思議な話をひとつ。
わたしの母の実家である本家は、母の末妹、わたしの叔母が継いでいる。
江戸の頃には、血筋の良い姫君が輿入れされたらしく、その際にお嫁
入り道具として持参した家紋付のお道具類が、いくつか残っている。叔母は昔から、その道具類が気になって仕方なかった。
経年劣化で紋もぼろぼろに朽ちていくのを見るに見かね、かなりの額をかけて修繕した。懐剣なども漆を塗りなおして非常に美しく甦り、叔母はご満悦だったという。

ところで、この母の実家というのが変わっていて、病気やトラブルを抱えると、別世界の住人とコンタクトをとり、いろいろなことを、割合さらりと解決していた。私は昔から実家とあまり深入りせずに過ごしてきているので、掘り下げて質問されても回答しかねる。そのあたりはご容赦願いたい。
しかし母も祖母も、切らなければならないはずの手術を、指定された煎じ薬の服用で何度も免れていた。

叔母はある日、ふと気になり、いつも相談にのってくれる別世界の方(江戸時代のお坊さんらしい)に道具類のことを話し、尋ねてみた。
「昔お嫁にいらしたお姫様とは、どういう方だったんでしょうね」、と。

お坊さんはおかしそうにクスクス笑い、「ああ……そのお姫様というのは、前の人生のあんただね」 と答えたという。
叔母は、自分のお嫁入り道具を、生まれ変わって自分で修繕に出していたのだ。

「諸国里人談」 のラインナップに加えるには、ややお粗末であろうか。

 

秋刀魚トロロそば完成完成です。トロロは精神の疲れにも効く。

秋刀魚トロロそば完成.小秋刀魚も山芋も大好物。


(有馬珠子のあめぶろ)

各自が100パーセント個を発揮し、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす、職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

野菜のポトフ

「日本人は農耕民族だから、土からの芽吹きを喜ぶ本能があるはずだ」
山歩きが好きで、自然を愛する母はこう言った。

たしかに幼少時、朝顔の種が発芽したときの、土のむっくりしたふくらみに胸をときめかせたのは事実だ。宝箱が開いたかのような、生命の神秘に対する畏敬の念。
農業を生業にしている人は、あの感動を毎日肌で感じているのだろうか。

しかし私の中に沸き立つ農耕の血はない。
緑豊かな山よりも大河流れる肥沃な土地よりも、熱風吹き荒れる砂漠に心をうばわれる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA(ポトフの材料)

 

パール・バックの「大地」は長い小説である。しかし圧倒的な面白さで、息つく間もなく読み進めてしまう。

小説というより、ほとんどノンフィクションルポといってよいだろう。
主人公である王龍が、下層階級の農民から大家にまでのし上がる軌跡と暮らしと人生が、緻密なタッチで細部にわたり書き込まれている。

農民である王龍は、土を愛し土地を愛する。
黒豆、稲、小麦、キャベツ、玉蜀黍、セロリ、蓮、赤大根……。生活をささえる、まさに「メシのタネ」となる種子を購入し、ひとつひとつ手間をかけて大事に大事に育てる。
王龍は野菜の種まきを、成長を、収穫を慈しむ。
貧困のなか、大地の実りは馥郁たるゆたかな香りを放つ。

それらは私が普段マーケットで買っている野菜とたしかに同じもののはずだが、より生々しさを感じる。
土の匂いはそのまま血の匂いだ。王龍の血がしみ込んだ土から掘り起こされた、血の流れる「生きた野菜」である。

包丁で切れば血が吹き出るような、農民の魂のこもった野菜たち。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(作り方はカンタン。野菜をざくざく切って、圧力鍋に放り込んで、煮込むだけ。きのこ類は乾煎りすると香りが際立って美味しい。)

 

初巻では、読むだけで憔悴するような貧困が描かれている。まさに「悲惨」という言葉しかない、救いのない生活だ。
女性の進退も運命も、「人権」という言葉がむなしく潰えて蹂躙され、闇に沈む。
飢饉と戦争のなか、むき出しになる人間本性の醜さ。しかしその中でも、消え入りそうにチラリと輝く人間の品性もまた、かいま見ることができる。

 

パール・バックが女性小説家であるということは、かなり後で知った。
ピンとこなかったのは、彼女があまりに冷静に、客観的に、この「ほぼノンフィクション」を書き込んでいるからだ。

筆力がすごい。
女性の悲惨な運命も環境も、おなじ女性の立場から淡々と現実を綴る。
当時の中国社会を、取材記者のように、あらゆるサイド、あらゆる層から多角的に組み立ててゆく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(圧力鍋で4分。蒸気が抜けるまで20~30分。完成です。 野菜だけのおいしいポトフ)

 

パール・バック自身は、宣教師である父と母とともに、生後三ヶ月で中国江蘇省に渡った。
父方の家系は有名な学者ぞろい。また母方の家系も、高い教養を持つものばかり。中国でのパール・バックは生活に困ることはなく、一流の教育を受けて育った。

白人である彼女の中国での立ち位置は「富裕層」だったはずだ。
それなのに彼女は、「良家の子女」のそれとは思えない観察眼で、上から下まですべての階層を明確にとらえ、縦横無尽にメスをいれる。
移民し「乞食」にまで落ちぶれた王龍一家の立場から社会を描き、そこに読者が感情移入できるようものがたりは練り上げられている。

人間の特性や気持ちにたいする洞察力もすごい。
多数の登場人物の個性、保身感情や心の変化。
また女性同士の虚栄心やいがみあいの動機など、現代社会のオフィスでも繰りひろげられる雑事に、「国も時代も変われども」と苦笑することしきりだ。

 

やがて舞台は、子供や孫たちの世代にまで引き継がれていく。
「大地」は王龍一代だけでなく、三世代を通してあらゆるテーマを含む、壮大なスケールの小説である。

家制度、貧困と富裕、社会クラスシステム、人間関係、恋愛、フェミニズム、農業、労働、道徳、教育、倫理、神智、人種差別、社会福祉、障害者保護、世代間のジェネレーションギャップ……。

驚くほどの膨大なテーマがすべて盛り込まれているにもかかわらず、それらが「人」を媒介にさらりと描かれる。どのテーマも、個人の目線からの「現実」として読ませてくれる。

 

ポトフ完成(最近のお気に入りはヌーシャテルチーズ。普通のクリームチーズよりも脂肪分が少ないらしい。 塩加減、絶妙。野菜たっぷりブランチの出来上がり。)

 

 

これを書いている今、ちょうどTPPが合意の最終局面に向けて動いている。
日本はついに米国産主食用米の無関税輸入枠を新設し、その量を7万トンとする方向で調整する意向をしめした。

わたしのなかに「農耕の血」はないのだが、自らの魂を農業に注いで生きてきた人は、この局面をどのように受け止めているのだろう。やはり「身を切られるような」気持ちではなかろうか。

「農耕」をベースに生きてきた日本人の命運は、今、大地を離れようとしている。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
多様性を認め、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす、職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

生湯葉の大臣

湯葉とは不思議な食べ物である。
豆乳だけでも不思議なのに、豆乳を加熱してできた膜を食べるというのは、どのような了見であろうか? だって、ミルクの膜を寄せ集めて食べる習慣はない。

実際、外国人からすると対応に困る食べ物らしい。まずいわけではない。しかしぼんやりとした味。栄養価は高いらしいが、寿司やてんぷらのような華やかさはなく、摩訶不思議なジャパニーズフード。
「これは何か」とアメリカ人に聞かれ、「……フィルム・オブ・ホット・ソイ・ミルク……?」と答えたら、何とか通じた。
しかしアメリカ人の知人はその後めずらしそうに、指と箸でその「フィルム」を伸ばし、しげしげと見つめていた。

 

海老と夏野菜の生ゆば和え材料(海老と夏野菜の生湯葉和えを作る。メイン材料)

 

日本料理には、「ぼんやりとした味」が多いのかもしれない。
ぼんやりというと聞こえが悪いが、要は繊細な味である。原色鮮やかな油絵ではなく、玉虫色や鈍色のやわらかい日本画のような味といえばお分かりだろうか。日本の奥ゆかしさを顕す、ぼかしの美学。

生ゆばボウル(生湯葉とオクラとアボガドと、アクセントに塩昆布。)

 

ヴァイオリニストで脚本家の筒井ともみさんは、著書『おいしい庭』で同様のことを述べている。

「白玉やぎゅうひやすあま、はんぺんやちくわぶ、そばがき、すいとん等々、味も舌ざわりももやーっとした優しいもの」 「輪郭がぼんやりとしていて、そのうえプリミティブな存在感の深さを感じさせてくれる味わいの食べもの」 がお好きとのこと。右に同じだ。
著書には書かれていないが、この味覚をもつ人ならば、おそらく湯葉や杏仁豆腐も好きなはず。


海老とかぼちゃ

(かぼちゃと海老はスチーム。茹でるよりも蒸したほうが栄養は逃げない)

 

「ぼんやりとした」は、日本の持ち味かもしれないが、政策・外交まで日和見の、ぼんやりと自己主張にかけたものでは困る。

安倍新内閣が発足して、賛否両論、意見も出尽くした頃だろうか。女性閣僚を5人抜擢し、「女性登用」を推進したのは素晴らしい。あとはそれらが適材適所であったことを、政策・実績で証明していただくほかない。

わたしとしては、女性が財務、経産大臣の主要ポストに就いたこと自体、とても意義あることだと思っている。
しかし政治は「数合わせ」だけではない。結局のところ、能力を発揮してもらえなければ意味がない。パフォーマンス程度のお飾り女性登用ではないことを、女性閣僚にはフルパワーで示していただきたいのだ。

 

「ぼんやりとした」存在感など跳ね飛ばして。周囲から「余人をもって替えがたい」と言わしめ、日本政治の礎とならんことを。同じ女性として、私は日本の片隅でエールを送っている。

海老と夏野菜の生ゆば和え完成(完成。味付けは薄口の白だしとわさび。好みで柚子胡椒を加えてもいい。)

生ゆばお酒と(日本酒のお供に。ノンオイルなのでカロリーも控えめ。なのに結構こってりが嬉しい。)

 

筒井ともみさんの 『おいしい庭』 の著書に戻るが、彼女の愛猫、アメリカン・ショートヘアの「ガルシア」は、和風の味覚をもつ猫だという。

好物が、生蕎麦(市販乾麺は不可。一流店の手打ち蕎麦のみ)、土鍋で炊いたごはん、一度噛んでふやかしたおせんべい、だだ茶豆(一般の枝豆には寄ってこない!)ほんのりと甘いこし餡……というから相当なグルメ猫だ。

ラファエル(↓)も顔負けの、本物のわかる猫である。すごい。

ラファ「私の好物は、ゴルゴンゾーラチーズ、エシレの醗酵バター、アンジェリーナのモンブランのクリーム部分、などです。よろしくお願いします」

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
多様性を認め、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす。職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

銀杏ご飯と漬けかつお

銀杏の実は翡翠のようである。
翡翠は中国や日本で、古代からダイヤ以上に価値があるとされてきた。
トロリとしたツヤと透明度のある緑色の、まさに銀杏のような色をした質のよいヒスイは琅玕(ろうかん)と呼ばれ、特に珍重されている。現在、一級品の琅玕はビルマでしかとれない。

銀杏ご飯と漬けかつお.材料(本日のメイン材料)

 

昔の漫画だが、木原敏江の『ユンタームアリー』という作品がある。

落ちぶれた亡命ロシア貴族のお姫様が出てくるのだが、彼女は身ひとつで国を追われ、その日の生活にも困る貧乏暮らしをしていた。それなのに、豪華な琅玕の指輪だけは何があっても手放さない。決して売ろうとしないのだ。その指輪は、お姫様の下僕で召使をしていた中国人青年の形見だった。

その召使の青年は、お姫様が舞踏会のドレスにつける一輪の生花を得るためだけに、極寒の冬山を歩き回り、凍傷で指を失った。その奴隷はお姫様を崇拝し、好意を寄せていたのだ。

銀杏ご飯 (黒米はこのくらいの配分で炊いてみる。白米に対し3割くらい?)

 

やがてロシアに暴動がおこり、貴族がつぎつぎに殺害されていく。下僕の中国人青年はお姫様を亡命させるため、裏道を通って駅へ逃れさせた。
彼は「暴動がひどくてこれしか持ち出せなかった」と、お姫様を汽車に押し込み、チケットと琅玕の指輪を手渡す。凍傷で指を失ったその手で。汽車のチケットは一枚しかなく、それをお姫様に渡し、青年は「元気で」と別れを告げる。
逃亡の汽車に乗れなかった青年は、貴族を逃した罪でその後殺された。

 

漬けかつお(かつおをたれに漬ける。たれは生姜、にんにく、かつおのたたきに付いていた市販のたれ、ごまペースト。ペーストは普通のごまドレッシングでもOK。きのこは株採りのなめこ。 銀杏はかなづちで割れ目をつけ、レンジで2分ほど加熱してから殻をむく。)

 

お姫様はあらゆるぜいたくやわがままを許され、ガチガチの身分差別の教育を受け、召使のことは人間を人間とも思わない環境の中で育てられた。
しかし亡命後、琅玕(ろうかん)の指輪を手放せないお姫様の心のうちを、知人にズバリと指摘される。

「ただ君は、下僕の中国人青年を好きだったんだ。だから思い出のよすがに中国語を習い、形見の琅玕を手放せずにいる」
お姫様は、そこで初めて涙を流す。そんなことは分からない、なぜなら相手は奴隷で自分は王女だったから、と。ただ今、ここに彼がいてくれたらどんなにいいかと思う、と泣くのだ。

恋人として会話したこともなく、触れ合った経験すらない。
彼を好きだという自覚すらなかった頃の思い出が、後になってボディーブローのようにじわじわと効いてきて、心の痣となりお姫様を苦しめる。

高慢で冷ややかなお姫様の、心の奥深くに大切にしまわれた、柔らかく温かい感情である。

誰もが、そんな心の一部分を隠し持って生きているのかもしれない。

 

銀杏ご飯と漬けかつお完成(完成です)

銀杏ご飯と漬けかつお完成2 (本当にヒスイのようにつやつや。付け合せは深漬けのキムチ。)

 

似たような話を、もうひとつ。
「触れもせで」を書いたのは、小説家でありテレビプロデューサーの久世光彦氏であるが、彼が亡くなられてもう8年が経つ。

向田邦子と20年もパートナーを組み、脚本のほとんどをプロデュースした著者は、彼女とは夜を徹して、本当にいろいろなことを語り合ったという。仕事のことだけではなく、ときには脱線して、各々の思い出にも話を弾ませたと、その著書に記している。

「…原稿の書きすぎで肩が凝ると向田さんが言っても、私は気軽に揉んであげようという気になったことがない。その代わり、帰りしなに私の洋服の肩にゴミがついていても、あの人は注意してくれるだけで、決して手を伸ばして取ってくれようとはしなかった」

熱い肌を幾度合わせたって何もわからない人もいる。指一本触れもせず、十年経ってしきりと恋しい人もいる。久世光彦氏はそう語る。

「触れもせで」
相手の心の琴線に触れ、奥底にどれだけ足跡を残したか。残し続けているか。そんな相手は案外やっかいで、消せども消せどもより鮮明に浮かび上がり、存在をさらに濃く、刻みつける。

容易に光を通さぬ、謎めいた翡翠にも似て。Dカラーエクセレント、クラリティフローレスという透明度の高い最高級ダイヤモンドは、文句なしに素晴らしい。
しかし華やかではないが、深い美しさを湛える翡翠は、年齢を重ねてなお寄り添いたいと、心が囁く石なのだろうか。そのにぶい光沢の美しさに気づくのは、いろいろなことを振り返れる、折り返し地点に立ってからからかもしれない。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
愛情力×共感力で個生の時代を創る~ 多様性を認め、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす、職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

平和な国のパスタ

アーネスト・ヘミングウェイの小説、『武器よさらば』の中には、
戦争中の食事としてパスタが出てくる。
正確には、パスタではなく「冷たいマカロニ」。

煉瓦工場で敵の爆撃を受けながら、白チーズを抱いて逃げる主人公。
ようやく合流した少佐や仲間たちと、ひとつの皿から白チーズ入りマカロニを食する。
白チーズを抱いて逃げるというところが外国っぽい。
日本ならば糠床だろうか?いや、やはり米と味噌か。白チーズに代わる日本食がなかなか思いつかない。

合流した皆は、戦場で4分の1ポンドの白チーズをナイフで削り、冷たいマカロニに散らして食べていた。水筒に入った酸っぱい赤ワインを飲みながら。

ワインは美味しくなかったらしいが、それにしても戦争真っ只中にしては結構優雅な食事だな、と思った。
これでホットミールなら、休日のブランチでもいけそうではないか。
ゆでた熱々のマカロニにオリーブオイルとバターとクリームを絡め、塩胡椒して、24ヶ月熟成のコンテチーズをナイフで削って散らし、パセリでもふったらもう最高。

しかし私が作る今回のパスタはトマト味だ。
「旬トマトとやりいかのパスタ」。鷹の爪やバルサミコ、ハーブも使用するので、おそらく戦争中には品薄のひと皿だろう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA旬のトマトを大人買い

やりいかは輪に切って塩水で洗い、水気を取ってから下味をつける。
以前は肉や魚の下味に、オレンジの花から取れたオレンジはちみつを使っていたが、最近のお気に入りは「ゆずのコンフィチュール」。
要するに、ゆず茶用のゆずのジャムである。
素直なオレンジとは少し異なるビターな風味が格上で、後々まで良い香りが引く。
柑橘系特有の爽やかな風味が、トマトの酸味とよく合う

OLYMPUS DIGITAL CAMERA適当に混ぜて下味をつける

今回はゆずジャムと一緒に、魚介の生臭さを消すためのハーブも混ぜる。ディルウィードは肉料理にも魚料理にも合うので、好んで使うハーブのひとつ。
にんにく、オリーブオイル、鷹の爪、旬トマト、やりいか、事前に乾煎りしたきのこをフライパンで炒める。

一応パスタ料理で忘れてはならない3大原則を記載しておこう。
①にんにくと鷹の爪とオリーブオイルは、弱火でじっくりいため、香りを引き出す
②パスタをゆでるときはたっぷりのお湯とけっこう多目の塩で
③もちろんアルデンテ

ここで味付けのご紹介。
赤ワイン、コンソメ、バルサミコ、、マジックソルト、ホワイトペパー投入。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA完成です。バターガーリックブレッドを添えて

OLYMPUS DIGITAL CAMERAちょっと引いた画像も

パスタはアレンジがカンタンなので、何十種類も作れる。
ゴルゴンゾーラソースの手打ちパスタも絶品。近日公開予定。

先日山男の友人が、「頂上で食べるおにぎりとから揚げと卵焼き、そして沸かしたての湯で淹れた、ドリップ珈琲の美味しさのために登っているのだ」と、熱く語っていた。
特別な環境で食べる食事は、やはり一味違うらしい。
戦場で食べる食事の味は経験がないが、できれば誰にも一生知らずに、いてほしい。

美味しい食事は、平和な環境で食べるからなおさら美味しいのだ。
集団的自衛権に、未だくすぶっている私である。

 

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
愛情力共感能力を高めて、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす。職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

 

 

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

 

 

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

 

 

鶏のオレンジ漬け赤ワインソース

中山可穂という作家を知っている人は、結構ツウといえるだろうか。
この人が名を知られるようになったのは、初期においては、作品よりも著者の性的嗜好によるところが大きいのかもしれない。
中山可穂は同性愛者である。女性なので、いわゆるレズビアンだ。
作品も、それを題材としたものが多い。

 

『悲歌(エレジー)』という短編集の中の作品、「隅田川」の主人公も、レズビアンの女性である。写真家の彼女は、若いときに女性プロ料理写真家の先生に惹かれ、夢中で恋をした。
しかしある日、先生がパリのレストランで撮影したトリュフソース付きウズラの蒸し焼きの写真を見て、突然烈しい嘔吐に襲われてしまう。

彼女はそれ以来、料理写真を見ると嘔吐がとまらなくなってしまい、結局写真業界から距離を置くこととなったのだ。先生との仲も、それきりで終わった。

その後、彼女は普通の仕事をしていたのだが、ある日、高校生の女の子ふたりの隅田川・身投げ心中事件に間接的に関わり、事件をきっかけとして再び写真を撮り始める。

 

鴨漬け①ウズラではなく鶏肉を薄く切り、マーマレード(ここではゆず)、にんにく、塩コショウ、マジックソルト(なくてもよい)、コリアンダー(なくてもよい)に漬け込む。
②30分ほど漬けたら、肉をオリーブオイルで焼く。
③きつね色に焼けたら肉を取り出し、フライパンに残った肉汁にソースを絡めて煮詰める。ソースは赤ワイン、バルサミコ酢、はちみつ、ディルウィード(パセリなどでもよい)、めんつゆか醤油。我が家では、書中のトリュフソースは再現かなわず……。

 

 

私にも、レズビアンの友達がいる。
ミキさんは、私が暇を持て余していた数年前、よく二丁目のクラブに遊びに連れて行ってくれた。小柄で細身の身体に、キリッとしたオリエンタルな顔立ち。長い黒髪をポニーテールにしている。ハキハキとした気風のよい性格で、男性からもモテそうな魅力的な女性だ。ちなみに私のことは、恋愛対象として好みではないらしい。

今も職場は変わっていないのだろうか。ミキさんは当時、中央線沿線のとある駅のベーカリーのパン職人として働いていた。彼女は周囲にも職場にもカミングアウトしていたので、書いても不都合はないと思うのだが、一応ベーカリーの名前は伏せておく。

 

ミキさんは、先天的なレズビアンだったわけではない。
高校生までは、男性にも恋愛感情を抱く、ごく普通の女の子だったそうだ。しかし高校生のとき、同級生の女子から激烈に想いを寄せられ、最初は当惑していたが、あまりに激しいアプローチに、やがて陥落したという。

本人いわく、それはミキさんにとって魂のすべてを捧げ、臓腑の裏まで搾り出すような恋愛になった。
「身も心もすべて焼き尽くすような、全身全霊で誰かを愛する経験は、これ一度きりだな。一回経験したから、この先の人生、わたしはもういいや」
彼女は、今は閉店した吉祥寺のドナテロウズで、煙草をふかしながらポツリと言った。吐いた煙の中に、誰かの顔を見ているような遠い眼差しだった。

 

鴨赤ワインソース完成完成。れんこんもオリーブオイルできつね色に。柑橘系のジャムは酸味がさわやかで、お肉もやわらかくしてくれる。

 

私は、同性愛者でない人が、どのようにして同性を愛するようになったのか、その心境の推移のほうに興味があり、ミキさんにしつこく聞いた。ミキさんはためらうこともなく、すらすらと自分の気持ちを話してくれた。

 

「最初はね、正直うっとうしかったんだ。だってベタベタ寄ってくるんだもん。この子、しつこいなって思っちゃって。適当にあしらっていたんだけど、そのうち私も辟易しちゃってさ。冷たく接するようになったの。何度かそっけなくしたら、向こうも気づいたんだろうね。寄ってはこなくなったんだけど……」
ミキさんはまた遠くを見た。この人は自分の正直な気持ちを話すとき、相手の顔を見ずによく遠くを見る。

「……寄ってはこなくなったんだけど、遠くから悲しそうな目で、じっと私のことを見てるんだよ。さすがに罪悪感がわいちゃって、ある日こっちから優しく話しかけてあげたんだ。そしたらもう、『この世の春!』って感じで、その子、ぱ~っと明るい笑顔になって」
ポニーテールで吊り上げられたミキさんの目が、優しくゆるんだ。

「わたしが話しかけただけで、ここまで一人の人間を幸せな気持ちにできるんだ! って思ったらさ、何だか愛おしくなっちゃったの」

 

私はノンケの一女性を落とした相手の女性のパワーに驚嘆した。
結局のところ世界を変えることができるのは、個人の意志力なのだろう。
個々の意志が少しずつ色を変え形を変え現実化し、精緻なモザイクタイルのようにリンクしながら、世界全体が変容し続けるのを私たちは見る。

鴨の赤ワイン漬けオレンジソース.パン付 白パンと共に。ちなみにアーモンドは生アーモンド。なかなか売っていないので、ネットで取り寄せている。かじると中の実は真っ白だ。

 

今日、タレント業の女性と女優兼ダンサーの女性が、来春に同性婚を行うというニュースが流れていた。日本では現在、法的に同性婚が認められていないため、二人は財産分与などの合意事項について公正証書を作成するという。ヤフーニュース記事の二人の笑顔は、幸せそうに輝いていた。

彼女たちが選択した幸せは、「現実」という名にかわり、これから容赦なく刃を向けてくるのかもしれない。
しかし固定観念や常識にとらわれず、自らの感情に正直に体当たりした素直さは、たしかに社会意識の総括的プログラムを組み直し、新たな模様を描くデザイン画として、意義ある一石を投じたと思う。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
多様性を認め、作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす、職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン

うなぎ飯のおにぎり

夏目漱石の門下生であった内田百聞の短編集『東京日記』には、巨大鰻が登場する。お堀から出てきたその鰻は、電車道路に沿いながら数寄屋橋のほうににょろにょろと逃げてゆく。黒光りする胴体は牛の腹ほどもあったというから、長さにしても相当のはずだ。

実話ではなく、幻想的な昭和の怪異談である。

上記は小説ではあるが、この手の巨大生物(食材)を耳にするたび私の頭をかすめるのは、「美味しいのか?」という疑問だ。
おそらく美味しくないのだろう。繊維は固く、味も大味なのではなかろうか。ただ、「何人分のうな重が……?」という部分でまた、私の心をざわめかせる。
食いしん坊の性。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(材料です)

さて、スーパーの鰻やパックの鰻を料亭の味に変えてしまう裏技をご紹介。
「技」というほどのものではなく、鰻の身を常温で日本酒に30分つけた後、グリルで焼きなおすだけ。しかしこの処理をするだけでパック臭の鰻が劇的に美味しくなるので、ぜひお試しいただきたい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(群馬の銘酒、水芭蕉。よいお酒)

 

向田邦子の子供時代の回想録で、母親と鰻を食べた思い出が書かれている。
病院帰り、母親と鰻を食べに店に立ち寄るが、母親は「お腹の具合が悪いから油ものは食べられない」といい、病弱な邦子にだけうな丼を食べさせる。実際は、二人前を頼む余裕がなかったからだ。
母親の愛情もしみこんだ、お腹も心も温まるうな丼である。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

(うなぎ飯のおにぎり。だし巻き卵にはポン酢ジュレとわさびをのせて)

 

ほんの2~3年前のことだが、テレビ番組で、不特定多数の母親を対象にアンケートを実施していた。内容は、「 自分を犠牲にしても我が子を助けられるか 」 というもので、驚愕したのは 「 分からない 」 「 助けられない 」 と答えた母親が、異常に多かったことだ。

一般の親が子供にもつ自己犠牲の愛というのは、男女問わず尊いものだと信じているし、おそらく自分も、当然備えている感情だと思う。

愛情の欠落した親が、能面のような顔で無機質に子育てをし、我が子より自分優先で生きる。

私にとっては昭和の怪異談より、こんな現実のほうが空恐ろしい。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
愛情力×共感力で個生の時代を創る。多様性を認めて作業効率のよい職場を。セクハラ・パワハラ・モラハラをなくす。職場のハラスメントゼロ活動にご協力ください!

 

(悩んだら、ココに相談 ↓ )
「働く人のセーフティネット」は、セクハラ、パワハラ、過重労働、サービス残業などの解決を手助けする、無料労働相談会を実施しています。

 

(ご協力ありがとう!)
ストレングスファインダー×モチベーションマネジメントで 強みを発掘して、153%活かす 個人からチームまで、強みと魅力を伝える専門家 スピカデザイン