男性視点でつくられたものに、女性は満足していない


「月曜から夜ふかし」という番組をご存知でしょうか。関ジャニ∞の村上信五さんとマツコ・デラックスさんがMCを務める、名のとおり、月曜深夜枠のバラエティ番組です。以前の放送で面白い内容がありましたので、ご紹介します。

 

「女に生まれたことがどれほど得か」というテーマで、番組がいくつかVTRを作り、それを番組内で流していました。

「お得」だという内容は、「女性の方が色の識別能力が高い」ことや、「自殺者や引きこもりの数が男性の半分の数」であることなど、いくつかの女性の利点が紹介されました。

VTRを見たあと、マツコさんが番組観覧の若い女性たちに、「どう?」と聞くと、一同そろって「う~ん………」というイマイチな反応。

それを見たマツコさんの発言が的を射ていました。

「だからしょせん、男のスタッフが作ったVなのよ。まだこの世は男の世界。男の世界にあわせられる女の人じゃないと、結局のところ平等にならない。」

その通りです。

今の日本は、男性に媚びるか、はたまた男性の女性蔑視を許容して、おどけてバカ枠になれる女性にしか、男性は地位を与えようとしません。それは本当の意味での平等ではないのです。

 

なぜ、これほど女性活用が叫ばれているのに、うまくいかないのでしょうか。

それは結局のところ男性が、自分にとって「真に辛いもの」を受け入れていないからだと思います。

男性にとって「都合のよい」女性意見や女性キャラクターだけをチョイスして、それを「男女平等」と取り繕い、「ほら、こんなに女性活用してますよー!」と大手を振って掲げている。

だからダメなのです。だから中身がないのです。だからズレが生じています。本当の意味での平等にはなっていないのです。

正直なところ、日本人男性は「従順で受動的な女性」しか、周囲に置きたくないのでしょう。それは日本の「恥の文化」が影響していると思われます。女性が自我を持つことを歓迎しないのは、「男という鎧」がダブルダメージを恐れるからでしょうか。まず「人」としての能力面で負けることを恐れ、つぎに「男性」として拒否されることで、性的コンプレックスにも傷がつくことを恐れる。恥×恥の二重のコンプレックスを、本能的に回避したがっているのだと思います。

日本の男性はもっと、女性に意見を言われることや主張をされること、手厳しくされること、拒否されること、反対意見をぶつけられること、女性に使われること(ここではビジネスシーンで)に慣れたほうがよろしいでしょう。

男性視点にあわせてくれる、優しくあたたかい、子供に諭すようにミスをしかってくれる理想の「女性像」を形づくるのは、もうやめるべきなのです。薄っぺらいイメージを押しつけられる女性サイドとしては、まさに迷惑千万です。

あるいは「男性権威」に迎合する、手もみタイプの商売上手な銀座のママを、「女性」のモデルケースとして掲げるのもまた、ちがいます。それも単に、男性に「都合のよい女性像」の変形バージョンです。

 

しかし私が痛切に感じるのは、組織で重要な決定権を握る「男権至上主義」の男性ほど、先述のごとく「都合のよい女性」を、「女性のステレオタイプ」として歓迎しているという現実です。

その結果、「かわいいフワフワお嬢さんたち」がメディアに多く露出し、日本社会に「幼児性」がはびこり、その幼児性が「女性の理想」のような扱いを受け、女性たちは違和感をおぼえながらも、それに捕らわれてしまっているご様子です。

今回の「月曜から夜ふかし」のマツコさんの発言は、その危険性を如実に表わしていると感じました。女性と男性の両方の視点をもつ彼女(とします)だからこそ、現実を見すえた冷静な分析ができているのではないでしょうか。

 

男性も意識の転換が必要なときです。

これからの新時代を生きる男性は、「自分たちにとって都合の悪い女性」に照準をあわせ、意見を取り入れ、人間として対等な目線でコミュニケートできる能力が求められます。

そのことにおよび腰であってはいけません。傷つきやすい男性のグラスハートもわからなくはないのですが、そこを尊重して過保護のままでは、ビジネスも政治も、日本は行き詰まるいっぽうです。

「プライドをどこに持つか」

もしあなたが男性で、女性に主導権を握られ、指示されることを心の奥底で恥としているのでしたら、むしろ進歩的で自立した女性を受け入れることのできない、己の度量の小ささを恥じていただきたいと思います。

 

「少女漫画研究家」の和久井香菜子さんが、これもまたテレビで、おもしろい発言をしていました。

「少女漫画原作の映画ってね、男の制作スタッフが作ると、大体つまらない映画になりますよ。人気の女優にキレイな服を着せただけの。中身のない、つっまらない映画になりますから。これがね、女性スタッフが入ると、一気に面白くなる。ハナダン(花より男子)はあれ、女性スタッフが作ってるの。だからあんなに面白くなったの」

これもいいえて妙だな、と私は思いました。

男性目線のうすっぺらい女性像にカテゴライズした、「人間力」の欠けた作品に女性はあきあきしています。マーケットもそう。政治もそう。もちろん会社も。

特に企業人事の関係者は、このことを肝に銘じて、男女ともに、的確な人選・採用・社内環境整備にのぞんでいただくことを切望します。