男性保育士問題は「機会の平等」と「職業選択の自由」を担保したうえで、業務内容区分の措置を講ずべき


男性保育士の可否については、複数のライターさんが腑に落ちる記事を書いてくださっているので、私自身が言語化しなくてもよいかと思いましたが、やはり私個人の経験からお伝えできることもあるので、記事にしておきます。

結論から申し上げると、私は「男性保育士を認めたうえで、業務内容の区別措置を講ずるのが適切」だと考えます。その理由を以下に記載します。

 

【他国の女児に対する扱い】

まず、他国の女児への扱いを見てみましょう。「性」の人権価値、女性の性的自己決定権については各国共通の普遍的な事柄ですから、他国を参考にすることは極めて妥当です。

アメリカやヨーロッパでは、父親と娘が一緒にお風呂に入るのもNGです。密室で何が行われているかわからない環境に、たとえ父親であれ男性と女児を一緒にするのは、一種の児童虐待であると考えるからです。

アメリカやヨーロッパなどの欧米諸国では、お風呂場はプライバシーが守られるべき場所という考えが強く、それを侵害するのは犯罪にもなりかねないほど非常識なことです。

とある先進国に在住の邦人一家では、現地校に通っている娘さんが、作文に「お父さんとお風呂にはいるのが楽しみです」と書いたところ、学校から警察に通報され、父親が性的虐待の疑いで逮捕されてしまったということです。

それほどまでに、女児の性的人権を国全体で保護する意識が根付いています。

 

【女児が性的対象であるという事実】

子供の頃から「スカートめくり」があるように、女児に対し、幼児期から(幼児同士であれ)、男性の性的関心が存在しているのは現実です。すべての男性が成長とともに、自分と同年齢の大人の女性を性的対象とするとは限りません。

そもそも、自我の確立した成熟した女性を求める国柄であれば、JKビジネスがこれほどもてはやされるわけはありません。女児が一定数の男性にとって「性的対象」であるという現実を、もっと直視すべきでしょう。

 

ちなみに私が初めて痴漢にあったのは、四歳のときです。しかしそれを語ったのは、これが初めてです。親にも誰にも言ったことはありません。
通行人が来たため、痴漢はすぐに逃げましたが、女児の性被害というのは、これほどまでに発信に時間のブランクを要する、女性にとって語りにくい、心に傷を負う出来事といえます。

私は文章も書きハラスメントの資格を持つなど、ある程度は表現能力のある人間ですが、その私ですらこうですから、黙秘されている被害は世間には数えきれないほどあるでしょう。

ちなみに私の知人女性も、八歳のときに初めて痴漢にあい、そのことを周囲に言えるようになったのは、五十歳を過ぎてからだと語っていました。

 

多くの人に知っていただきたいのは、今、世間で明るみに出ている性被害やセクハラは、「見える星の数」です。実際の被害は「見えない星の数」だけ存在しています。そしてそれは「忘れてしまった」からではなく、女性の多くが「傷ついて言い出せなかった」からなのです。

ましてや女児ともなれば、何をどのように伝えてよいかすらわからず、しかし人権侵害をされたという言語化できない屈辱感と嫌悪感は消えず、生涯を通じて、心に傷を残すこととなるでしょう。

性被害を事前にブロックできる措置は、可能な限り講ずるべきです。性被害というのは、起こるか起こらないかの「テロ」ではなく、工事現場の「落下防止ネット」と同じくらい、防止措置を講じて当然のものと考えるべきです。

 

【女児自身のメンタルヘルスと防衛】

また私は、男性保育士に着替えやトイレを任せることによる、女児自身の心理的負荷にも着目します。

女児であっても、男性への性的恐怖や性的羞恥心には、個人差があります。私は男性保育士に世話をされた経験がありませんが、もし幼児期、自分が男性保育士に、着替えやトイレの世話をされたら、とても嫌だったであろうという確信はあります。
たとえ男性保育士に性的意図がなかったとしても、やはり抵抗感があるでしょう。

女児個人の性質により、感じ方は違います。男性保育士の着替えやトイレを容認すると、人生に影響を及ぼすトラウマになる危険性もありますから、メンタルヘルスの側面から、女児への配慮が求められます。

「子供は無邪気」のような決めつけは大人の幻想です。

日本ではむしろ、「性的に無邪気でない女児」に対して、「ませている」など、悪印象を抱く傾向がありますが、それは反面、性的被害にあったときにも「無邪気を装わなければいけない」という圧力を与え、被害を告発できない心理的呪縛を生み、ともすれば被害を受けたことが「無邪気でない自分」の責任であるかのような罪悪感へと転化し、性被害を申告しにくい環境を作りあげてもいるのです。

「早熟でませている」という雑駁な視点と、「早期に性的価値を自覚し自己防衛意識を高める」という視点は別です。

子供自身に幼児期から、「性的に無邪気でない」ことこそが、個人の重要な自己防衛権利であると教え、「毅然とした拒絶」が正当化され、慣習化される教育と環境づくりを推奨し、男女ともにその意識を浸透させることが、気軽に性加害を起こせない社会づくりにつながり、ひいては性犯罪抑止にも資するのではないでしょうか。

 

【男性保育士と男性医師との比較について】

男性保育士と男性医師を比較し、「男性医師は専門性が高いから女性患者を診られるのに、男性保育士が女児の着替えを手伝えないのは、保育士を下に見る職業差別だ」と、問題が「専門性」に及ぶ意見もありますが、私は保育士と医師を比較すること自体が失当であると考えます。

男性側のプライドとしての専門性バイアスを語る前に、受動者である「女性個人の人権問題」が先です。もっと総括的に、性的な扱いに対して全般の保護を強化するべきでしょう。

 

なぜそう言えるかといいますと、私自身が、乳がん検診の際、密室で医師からセクハラを受けた経験があるからです。その点で、私は男性医師も男性保育士も、潜在的な性加害可能性は変わらないと思っています。

女性患者は皆、医師がセクハラをするなどとは疑いもせず、「医師としての視点」を前提に診療室に入ります。しかし実際のところ、その信頼を悪用する医師も存在します。

私が検診を受けた医師は、私に対する性的関心を露骨に示し、その態度を隠そうともせず、裸を見て、乳がんとは無関係の卑猥な発言をしてきました。その際、女性看護師の立ち合いなどはなかったため、それらは証明できません。「医師としての視点」がないのであれば、診療とはいえず、ただのわいせつ行為です。

 

じつは医療機関での性被害やセクハラは、驚くほど多く、それなのに、そのほとんどが表面化することなく隠ぺいされています。ドクターセクハラ、いわゆる「ドクセクハラ」は、今や幼児の性被害より深刻かもしれません。

私はこの件につき、匿名でほかの女性たちと情報共有したことがあります。私のもとには、たくさんの女性から医療機関でのセクハラ被害報告が寄せられました。
やはり乳がん検診が最も多く、その他には内科や耳鼻科、はては美容外科クリニックにおいての被害報告もありました。そしてそのなかの誰一人として、被害を明るみに出した女性はいない、というのが現実です。

 

なぜなら診療室というのは、極めて証拠の取りにくい密室であり、また知識のうえで上位に立つ医師が「強者」となり、患者との間には一種の心理的な上下支配関係が存在し、「強者」たる医師の恣意的言動が放置される場所だからです。患者側には「弱者」として、さまざまな従属が強いられます。

「密室での出来事なので証明できない(テリトリーの弱者)」
「おそらく皆、社会的地位のある医師の発言を信じるだろう(立場の弱者)」
「医療行為だと主張されたらそれまでだ(知識の弱者)」

このような考えから、強度の精神的外傷を受けながらも告発できずに、女性は泣き寝入りしてしまうのです。

 

男性保育士も同様に、保育所という閉鎖された空間で、弱者である児童との間に、ある種の上下支配関係が発生することは否めません。抵抗力と性的知識の乏しい児童に対し、恣意的な行動が許される「強者」となり得ることは事実です。

私の経験上、「職業的信頼」という善意は、いともたやすく裏切られますし、「強者」としての特権が正義のうちに正しく行使されるのか否か、こちらからは全くわからないのです。

女児を預ける両親が「着替えやトイレトレーニングを男性保育士にさせないでほしい」という申し出は、極めて自然な懸念であり、英断であるといえます。

 

【具体的な施策と、それによるメリット】

では、男性保育士を排除すればよいのかというと、それも合理的ではありません。
実際に保育士が不足している現状、また、日本国憲法13条の幸福追求権、14条の平等権、22条の職業選択の自由に鑑み、職への希望を断つことは不当であると考えます。純粋に子供が好きで、保育士として活躍したい男性もいますので、「機会の平等」を担保したうえで、業務内容を分類して、区別することが望ましいのではないでしょうか。
男性保育士への指導教育、監視を徹底し、着替え、トイレなどの性的配慮が求められる業務については、女性保育士が行えばよいと思います。

「いちいちそんなことをしていたら仕事にならない」

現場ではこのような声も聞こえてきそうですが、シフト制にして、女性保育士不在の時間帯は、女性パートアルバイトを雇いサポートしてもらえば、不可能ではないと思います。リタイアした女性高齢者の雇用拡大にもつながるのではないでしょうか。

 

男性保育士問題は、長期的なビジョンでの対応が求められる事案です。なぜなら女性が仕事をしながら安心して子供を預けられる環境を整備することは、女性活躍推進、男女共同参画の政策に合致しますし、ひいては経済的発展にも資するのです。

また近年、男児の性被害も増加している傾向から、女児への性被害防止措置を講ずることで、男女雇用機会均等法十一条セクハラ条項が、「女性対象」から「男女対象」へと段階的に発展を遂げたよう、結果的に児童全体への保護が徹底化される糸口ともなり得ます。まず枠組みを作ることによって、受益者が増えるのです。

 

【結論】

よって、私は「男性保育士を認めたうえで、業務内容の区別措置を講じ、場合によっては女性パートアルアルバイトを雇い、対応するのが適切」だと考えます。

そのうえで男性保育士側には、女児を扱う際の注意事項を喚起するなどの指導を行い、同時に徹底した監視がなされることを望みます。

また、女児には幼いうちから自己の性的価値を認知させ、むやみに異性が自己の身体の「性的保護部分(ボディプライベートスペース)」に接触したり、またはそれを見るために着衣を脱がそうとしたりするなどの行為に及んだら、大声を上げる、拒絶する、逃げる、周囲に速やかに伝えるなど、保育所において、自己防衛教育を行うことが重要であると思惟します。

最後に補足として、男性保育士が抱える職場環境問題として、職員のための男性用トイレが未だ設置されていない実情が散見しています。意欲低下、プライバシーの保護等、就業継続の弊害となり得ますので、事業主は労働安全衛生規則第628条を遵守し、早急にトイレを女性用と男性用とで分離し、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保されるべきと考えます。

 

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