ホステスと女子社員を混同するのは不当利得と知るべし


たとえばあなたが営業に配属されたとして、「ちょっとあんた、暇ならこれもやっといてよ」と経理の仕事をまわされたら、どのように思いますか。あるいは上司の夕飯の買い物を、毎日買いに行かされたら。

「業務以外のことを押しつけられる義理はない」

このように思わないでしょうか。

 

すでに周知されているはずなので今さら言うまでもないのですが、女子社員はホステスではありません。セクシュアルな存在として男性を楽しませるという内容は契約に含まれていないので、業務以外のことを期待するのはよろしくないでしょう。

さすがに最近では、酒席でのお酌強要や肩を組んでのカラオケデュエット強要などは、減少傾向にあるらしいですね。しかし日常のなにげない会話や、意識の点ではいかがでしょうか。

残念ながらまだまだです。

私はこのことを、自分が会社組織で働いていたときの経験から、そして現在、女性から受ける数々の労働相談の内容からも知っています。

繰り返しますが、セクシュアルな存在の押しつけや供給は契約内容にふくまれていないのです。契約内容に含まれていないものを、無償で期待してはいけません。

この世は欲しいものを手に入れるための「対価」というものが存在します。「ただより高いものはない」という言葉通り、無償で楽しみを手に入れられると思わないほうがよいでしょう。

たとえ目の前に、どれほどファッショナブルで、髪の毛さらさら、お肌つやつや、唇プルプルの、美しい、うら若き、礼儀正しい、かわいらしい女性社員が入社してきたとしても、そこにいるのは男性の愚痴を一方的に聞かされたり、自己顕示欲をしめす自慢話を笑顔で受け止めたり、男性を持ち上げてお相手をするために雇われた接待要員ではありません。会社の利益を、業務範囲内で一円でも多くたたき出すため契約をむすんだ、ビジネスパーソンなのです。

 

男性というのは少々単純なところがございまして(失礼!)、このことをすぐに忘れてしまいます。ですからオフィシャルな職場でのセクハラも発生しますし、公的な場所であるはずの議会で女性議員にセクハラ野次をとばすなどという、恥ずかしい珍事も起こるのです。

目の前にいるのがかわいらしくて美しく、ソフトな話しかたをする礼儀正しい(職場だからソフトで礼儀正しくしているにすぎないのですが)女性であったとしても、うかれてウキウキソワソワ、節度を忘れて鼻の下をのばすのは要注意です。尋ねてもいない武勇伝や自慢話を、一方的に語り始めるのもイエローカードといえます。ホステスハラスメントにはくれぐれもご注意ください。セクシュアルな押しつけの応対、扱い、態度こそが「人間・女性」をうんざりさせ、仕事のモチベーションを下げ、ひいては業務効率をさげるというオフィシャルなデメリットを、社会人として強く意識しておくべきです。

 

まずは一歩さがって、客観的になることをおすすめします。

男性のお話を聞いている(聞かされている)女性が、表面的には笑顔でも、実際の心の中は「カルピスオアシス」のCMに出てきたチベットスナギツネのごとく、冷めた乾いた目で見ていることに、気づく洞察力を備えてください。

会社では、個人の楽しみや欲を最優先させてはいけないのです。相手の気持ちを推し量り、共に楽しむ要素に着目し、共感力の増進に努めていただきたいと思います。コミュニケーション能力の欠如は社会人としてマイナス評価を受けるのですから。

 

私はこの記事を書くにあたり、格安をうたうコンパニオン派遣サイトをいくつかのぞいてみました。

コンパニオンの派遣料金は二時間で1万~1万5千円程度。かりに八時間会社にいるとして、一日八時間だとすると、1万2千円×4で4万8千円、一カ月に二十二日働くとして、105万6千円。

ビジネスシーンにいる女性に対して「コンパニオン」意識を持ち込むというのは、このようなことです。

冷静に考えてほしいのです。

一社員の娯楽のために、会社は月に105万6千円をだすでしょうか。それほどまでに、余人をもって代えがたき重要人物でしょうか。自己過信なさるのは危険です。

ついでにご忠告差し上げたいのですが、そもそも美しくて礼儀正しくて感じのよい気配り女性というのは、つねに男性から周波を浴びています。男性からセクシュアルな存在を押しつけられたとして、「またか」とうんざりしてしまう可能性が高いでしょう。

実際、私のまわりの美しい友人達は、かなりの確率でそのように感じています。

「自分はあくまで『ビジネスパーソン』として職場を円滑にまわすため、感じよく笑顔で接しているにすぎない」と、よく私にこぼしているのですから。

 

ビジネスシーンにおいて接客業を選択した女性と、それ以外の女性とを、混同してはいけないのです。

クラブやキャバクラで働いている女性は、少なくとも、「男性の話を聞いて接待する」職務を仕事として選択し、その代価として給金を受けています。彼女たちが笑顔でやさしく男性を迎え入れるのは、そこにひとつの契約が発生しているからです。

しかし会社や取引先の女子社員に、コンパニオン代金はふくまれていません。それなのに、セクシュアルな存在を押しつけて無料で楽しもうとするのは、不当利得です。

本来キャバクラやクラブに行って高い料金を支払うところを、手の届く位置にいる、身近な女性をつかまえ、性的存在を押しつけてセクシュアルな会話をかわして楽しもうとする心理は、スリや窃盗と同じなのです。

 

「距離感」「パーソナルライン」。

これは自分が設定している距離よりも、相手の女性はさらにさらに間を取って設定していると考えたほうがよいでしょう。

今やその危機意識をもたないと、コンプライアンスに抵触し、男性はご自分を守り切れないかもしれません。ある日突然、セクハラで呼び出されて懲戒処分を受けないためにも、ご自身から学び、賢くなることをお薦めします。