イスラム教の預言者ムハンマドは、元祖「イクメン・カジメン」


イスラム教の本質が「究極のフェミニズム」ということを、意外と皆様ご存じないようです。
IS被害で、イスラム教という宗教がずいぶんと誤解を受けていますので、まだ日本人にはなじみの薄いイスラム教のことを、少しご紹介したいと思います。

わたしもイスラム教の細部まで精通しているわけではなく、地域や国で多少の誤差はあるのでしょうが、イスラム文化を知れば知るほど、いかに女性を尊重する文化であるかがわかります。
もしイスラム教に「女性蔑視」イメージがつきまとうのであれば、それはむしろ、「女性尊重」という正しい意識を広めたくないがための、反対勢力の意識操作がなされたのかもしれないと、疑念すら抱いてしまうほどです。

そもそもイスラム教の預言者ムハンマドという人物は、「働くキャリア女性サポート」の代表のような男性でした。
彼は二十五歳のとき、結婚歴が二回ある、十五歳年上のキャリアウーマン―――女商人であり、自分の上司だったハディージャと結婚します。ムハンマドの誠実な仕事ぶりと、高潔かつ温厚な人柄に、ハディージャのほうからプロポーズしたと伝えられています。

あの時代に、バツ二(死別ですが)で十五歳上の、しかも職務上の女性上司と結婚! なかなかカッコイイシチュエーションですね。

妻のハディージャは、裕福で優秀な女商人でした。
彼女の正義感と度胸と、筋を通す潔癖さは周囲でも評判で、並みの男ではとても太刀打ちできないほど、魂魄の強い女性だったと伝えられています。
出産し子供を抱えていたハディージャは、日々、仕事や育児や雑務に忙殺されていました。

ちなみにムハンマドを「預言者」と見抜き、その真価を認め、すばらしい教えだと自信と自覚をあたえ、激励して世界へと放ったのは、ほかならぬ妻のハディージャでした。
ムハンマドは、預言者としての地位と名声を得てからも、ハディージャがなくなるまで彼女を尊敬し、ほかの妻を持つことはありませんでした。ハディージャがなくなった後も、ずっと「すばらしい女性だった」と周囲に話していたそうです。

長い下積み時代を支えてくれた糟糠の妻を、売れた途端にポイ捨てしてしまう芸人やアーティストに、一度聞かせて差し上げたいお話ですね。

 

「クルアーン」と並びイスラム教の根本文献である、ムハンマドの日常の言行録「ハディース」によると、ムハンマドは妻を助け、家事も育児も積極的にこなす、まさに「働く女性キャリアサポート」の手本のような男性だったことがわかります。

ムハンマドは、その容貌も佇まいも大変端正で威厳があったそうですが、しかし家庭では、自ら掃除をしたり、服につぎをあてる裁縫をしたり、靴を修繕したり、パン種をこねたり、子供をあやしたり……と、「イクメン、カジメン」として、せっせせっせと機敏に動いていました。

お断りしておきますが、これは、女性解放が叫ばれた19世紀以降の話ではなく、そこから1000年以上も前の、彼が生きた7世紀の時代の話です。
日本で7世紀といえば、十七条憲法(604年)からスタートして大宝律令(701年)までの、飛鳥時代のころです。
男女平等を掲げる21世紀の現代、果たして何パーセントの男性が、預言者ムハンマドのように、家でも家事育児を手伝っているでしょうか。

 

妻ハディージャの死後は、すでにイスラム教は一大勢力へと発展し、国政と密接に絡みあうなか他部族との政治的思惑も生まれ、ムハンマドも政略結婚に応じました。
しかし再婚した妻が、ハディージャのようなキャリアウーマンでなく、完全な専業主婦でも、ムハンマドは家事育児を手伝っていました。
彼の「女性尊重、女性サポート」の信念は、決して揺るぐことがなかったのです。

そもそもムハンマドの時代、女児が生まれたら、「働き手にならないから生き埋めにして殺してしまえ」、という男女差別の風潮があったのですが、「そのようなむごい残虐な仕打ちは許されないことだ」として、女児殺害を禁止し、女性の遺産相続を初めて認めたのもムハンマドです。

また、イスラム教の悪法のようにいわれている、「妻四人まで」という教えは、正統カリフ時代に大きな戦争があり、夫が戦死した戦争未亡人があふれ、彼女たち寡婦を「売春」という不名誉に貶めないため、そして子供たちが貧困にあえぐことのないよう、暫定的にさだめた救済措置でした。

「妻」という社会的地位を与えることで、女性としての尊厳と名誉を確保し、経済的困窮から救い、子供たちが孤児とならないよう、徹底した社会サポートをこころみたのです。
しかもその一夫多妻制も、「それぞれの妻の扱いに差異をもうけることは決して許されない」という厳しい条件付きでした。

 

預言者ムハンマドは、女性がウンマ(イスラム共同体)において、活動的な役割を果たすことを推奨していましたし、それを汲んで、女性たちも自らの意見を率直に表明しました。
なぜならば、トップである男性リーダーが自分たち女性を尊重してくれているという自負があり、それゆえ自分たちの言い分が聞きいれられるという確信があったからです。

女性議員の発言中に「早く発言しろよ」とやじをとばし、保育園不足に声をあげた女性の叫びを「匿名性」を理由に無視し、男系天皇が女性差別だと国連から指摘されると、目くじらたてて泡を飛ばして反論する、「男の子が偉い偉いとちやほやされたい」、どこかの国の男性陣に、聞かせてさしあげたいお話ですね。

 

現在ISが、「アッラーフアクバル」と、神の名の元に、預言者ムハンマドの名のもとにクルアーンを歪曲解釈し、暴虐の限りを尽くし、しかも弱者である女性や子供を迫害している。
真のイスラム教徒であれば、それは何より預言者ムハンマドを侮辱し、アッラーの意志にそむく冒涜なのではないでしょうか。

本当に預言者ムハンマドを拝し、神アッラーの国を理想とする真正ムスリムであれば、徹底した「女性尊重社会」をサポートし、弱者保護の福祉国家を作り上げるはずだと、部外者である私ですら思うのです。
ましてや、平和を重んじてきた敬虔なイスラム教徒の方々からすれば、さぞや臍を噛む思いでニュースをご覧になっているのではないかと、暗澹とした気持ちになるのです。

 

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