イスラムビジネス成功の鍵はムスリマ(イスラム教女性信者)理解にあり


ムスリマとは、イスラム教の女性信者のことです。
男性信者が「ムスリム」、女性信者が「ムスリマ」です。

現在、イスラム教信者は世界に約16億人いるといわれています。世界の4分の1がイスラム教徒という割合です。数年後には20億人に追いつくという声もあります。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、2070年にはイスラム教徒とキリスト教徒がほぼ同数になり、2100年にはイスラム教徒が最大勢力になるとの予測をまとめました。

 

 

日本でも、2020年の東京オリンピック・パラリンピックにむけて、急ピッチで準備が進められています。

JR東日本は2017年6月2日、東京駅構内に設けたイスラム教徒向けの祈祷室を報道陣に公開しました。またホテル、デパート業界では、イスラム教信者用の祈祷室スペースを確保するため、整備に努めている最中です。
私が実際に見たところでは、髙島屋新宿店では、すでに11階に祈祷室が作られていました(文末写真)。イスラム富裕層の顧客を取り込む戦略からでしょう。

イスラム教徒の訪日客が急増するなか、以前から祈祷室の設置需要が高まっていたといいます。旅行中でもお祈りできる環境を整えることで、訪日客へのサービス向上につなげているのです。

 

先日のサウジアラビアのサルマン国王来日には、日本中がどよめきました。持ち込みのエスカレーター式タラップで専用機から降りてきた様子は、皆さまの記憶にも新しいでしょう。
今回の国王来日に際し、飛行機40機、ハイヤー500代、高級ホテル1200室が押さえられ、まさに「サルマン国王特需」に沸きました。

 

東南アジア、中東、アフリカ、いずれもイスラム圏の富裕層の富裕っぷりはハンパないです。私はドバイ国際空港で、オイルマネーの底力を存分に見せつけられました。

空港というのは、その国の個性や財力がモロに出ます。

アラブ首長国連邦のドバイ国際空港では、なぜか幹すべてが「金の延べ棒」でできている「黄金の椰子の木」が生えており、免税店では用途不明な「黄金のしめ縄」が売られていました。1枚三万円くらいの宝くじも売られており、数千万円の現物高級車が景品として陳列され、その宝くじを束でポンポンと買ってゆくアラブの金持ちと、ヒジャーブをまとった奥方らしき美女。

極東から来たバックパッカー風日本人の私は、アイスを食べながらそれをぼんやりとながめていました。

 

のんきな島国日本では、いまだイスラム教に対する理解が浅いです。食べ物や礼拝、断食についてもそうですが、特に文化について見識が浅いように思えます。

たとえばイスラム教の女性(ムスリマ)は、厳密にいえば、夫以外の男性と握手することすら禁止です。
気軽に異性と「接触」はしません。

 

わたしを含め、「不必要に男性と握手したくない」という女性は、じつは日本にも結構います。若年世代に顕著な潔癖症もいるでしょうし、男性との肌接触だけが嫌、という女性もいるでしょう。
私などは「脂性なので、すみません」と男性との握手は断るようにしていますが、イスラム教であれば、本来断る口実にも気を遣わすに済むのだな、とうらやましくなります。

 

イスラム教の女性(ムスリマ)は、女性として生まれたことそのものが尊いものだという自負があり、「宝石」として扱われてきた生育歴があり、自分たち女性のセクシュアリティが「高貴で尊い」という自信とプライドに満ちあふれています。

「美しい私に触れるなんて、夫以外はお断りよ」
「私の尊い女性性は、自分が選んだ特別な男(夫)だけが享受できるものなの」

 

JKビジネスやキャバクラや風俗といった、女性を「性」として軽んじ、消費することに慣れきった日本人男性が、果たしておなじような感覚でイスラム教の女性に接したらどうなるのでしょうか。
性的なジョークなど言おうものなら、もう死刑に等しい侮辱です。会社の始末書どころでは済まされない、国家間の外交問題にすらなり得ます。

 

女性の髪や身体のラインなどをヒジャーブで隠し、「女性の美しさ」を男性がタダ見することすら許されない、というのがイスラム教です。
「性的興味の視線」そのものが、男性欲求の無礼な「消費」であると考えるこの感性、女性消費に慣れきった日本人には理解できないのではないでしょうか。

 

オイルマネーはまだまだ健在です。新エネルギーの開発は進められていますし、サウジアラビアも「脱石油依存」に向けて外交を展開していますが、中東で独占的に既得権益を得てきた富裕層がそうたやすく利権を手放すとは思えません。

 

昨年2016年には、集光型太陽熱発電(CPV:concentrated photovoltaic)方式で、世界最大となる発電所が北アフリカ・モロッコのサハラ砂漠に完成し、すでに運転を開始しています。

じつはサハラ砂漠の2%をHCPVT(High Concentration Photovoltaic Thermal)システムで覆い尽くせば、世界の電力需要を満たすことができるという計算なのです。

太陽エネルギーの実用化が進んだとして、送電技術やコストの面でまだ改善点が残り、安価に庶民に流通するのは、まだ先のことでしょう。仮に前倒しで実用可能になったとして、モロッコがそうであるように、太陽熱を集積する砂漠地域は、ほとんどがイスラム教徒です。

いずれにしても、イスラム圏が将来有望なビジネスパートナーであるという潜在性は変わらないのです。

 

和食の面でも動きが出ています。
調味料製造のフンドーキン醤油(大分県臼杵市)は、別府市の立命館アジア太平洋大(APU)と共同で、イスラム教の戒律に従った「ハラル」対応のしょうゆ開発を始めました。訪日のイスラム旅行者ニーズに加え、東南アジア等への輸出を視野に年内の販売を目指しているのです。和食に関心のあるイスラム教徒は多く、すでに世界中から輸出の問い合わせが殺到しているそうです。

 

イスラム圏はまさに日本にとってビジネスのブルーオーシャンです。それなのに日本がいまだビジネスチャンスをものにできていないのは、日本の「女性消費」文化とイスラム圏の「女性尊重」文化の概念が乖離しすぎ、それが弊害となっている部分が多いように思えます。

イスラムマネーの恩恵にあずかりたいのであれば、やはり文化の理解と受容は不可欠です。イスラム教の女性尊重意識も平行して取り入れなければダメでしょう。

ここにきて女性性を軽んじる「男尊女卑」の日本文化は、厳しい意識改革をせまられることになりそうです。

 

イスラムマネーの恩恵にあずかりたいのであれば、「女性性消費意識」を捨てること。その切り替えができなければ、日本は世界経済から取り残されることになります。

イスラムビジネスのその先には、20億人ターゲットの、果てしないチャンスが眠っているのです。

(下記は新宿高島屋店の祈祷室 ↓)

 

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