アサーショントレーニングの重要性~その二


数年前、「草食男子」の生みの親であるコラムニストの深澤真紀氏と、和光大学教授の竹信三恵子氏の「家事ハラスメント」トーク対談に参加しました。
その際、深澤氏の言っていた言葉が印象に残っているのでご紹介致します。

「女性って、周囲の雰囲気を読んで、気をつかっちゃうでしょ。ムカッとしても言いたいことを言えずに、その場をまるく収めてしまうことが多い。でも、それはよくないと思う。『これ、おかしいな』ってちょっとでも違和感を感じたら、そこで流さないのが大事。『いえ、今の、ちょっと待ってくださいよ』って、止めることが大切だと思う」

 

わたしにも思い当たるふしがあり、それ以来、なるべく「丸く収める」ことをやめました。些細なことでも、自分が違和感を感じたことや心に引っかかったことに対しては、なるべく自分の言葉で、自分の感情をアウトプットする努力を心がけるようにしたのです。

「いえ、でもそれっておかしくないですか。私はこう思いますから」と、発信していく訓練を始めたのです。

この努力を、ことセクシュアルハラスメントに対して、日本の女性はかなり怠っているように感じます。怠っているというと語弊があるでしょうか。実際には「言えない」女性が多いのです。

わたしはセクハラの労働相談を受けることがありますが、継続していく人間関係や業務遂行を優先し、つらくても笑顔で接してしまう女性が多く、そのことによって必要以上にストレスを抱えてしまう女性がとても多いのです。そこは「親和性」を大切にする、女性の性質に起因すると思われます。

漫画『毎日母さん』の原作者・西原理恵子氏は、このような表現をしていました。

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たとえば男と女が喧嘩すると、いきなり凄く昔のことを女が言い始めるでしょ。女の人はポイントを貯めているんです。ポイント制だから、ずーっと何も言わなくてもポイントは貯まっていて、最後の何気ない一言でカードがいっぱいになって、激怒して別れたり刺したりするんだから。

「今のあんたの言葉が百ポイント目で、今からキャッシュバックキャンペーンが始まります」と、今まで貯めてきた怒りがバーッと出てくる(笑)。

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セクハラに対し、「本当に嫌だったらその場で言うでしょ」「文句を言わずニコニコ笑っていたんだから女性側もセクハラジョークを喜んでいたんだよ」とおっしゃる男性は多いですね。
しかしその考え方は大きな間違いです。

女性は和を尊ぶ「親和性」「母性」のある方が多いため、はらわたが煮えくり返っていても、我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して…(リピート)、必死で笑顔を作っているのです。それがある日キャパオーバーになり、急に反撃に出はじめると。すると男性側は戸惑うわけです。

 

しかし日本の男女共同参画意識が、ここまで遅々として育たないところを見ると、女性ももはや、「親和性」などと悠長なことは言ってもいられない状況ではないでしょうか。

「ハッキリ言わなきゃわからない」
そのひと言に尽きるでしょう。

 

低迷し続ける日本の男女共同参画の推進をはかるため、相互理解の弊害を解消するためには、男女双方の努力が必要です。
テーマ自体が「男女共同」ですから、どちらか一方の努力というものではないのです。
今わたしたちにできることから各自で取り組み、個人から全体へと波及させていくことに意味があると考えます。

ハラスメントのない生産性の高い良好な職場環境、性的人権配慮、相互理解を推進するハラスメント防止コンサルタントの立場として、わたしから皆様にぜひお願い申し上げたいことがあります。

 

まず女性サイドにお願いしたいこととして、一部マスコミが発する、ペラペラとした女性像を「自分」ではないと感じるのでしたら、それを「あなた」とかん違いしている男性たちに、「違い」を積極的に表現していく必要があります。
会議のシーンでも、昼休みの食堂での雑談も、友人との酒席でも。

とくにセクシュアルな問題というものは、非常に個人差があり、不快感情の振幅も広いものです。このことは、今まで繰り返しご説明した「性・女性」と「人間・女性」のパターンからも、お汲みいただけるのはないでしょうか。

ふり幅の広い意識であるがゆえに、マニュアルやマジョリティ意見に頼り切るのではなく、個人個人が、ご自身オリジナルの「不快感情」をアウトプットしていくことが不可欠となってくるのです。
セクシュアルハラスメントを受けた不快感を、そしてそれがどのように不快であったのか、なぜ不快に感じたのか、それをあなた自身の言葉で表現してみてください。日々、そのシュミレーションをしてみてください。

意見を言うことは、争うことではありません。
むしろそれを閉ざすことは、貴重な相互理解の機会をすててしまう、たいへんもったいないことですから。

 

「冗談で言っているのかもしれないけど、若さや外見が女性の価値、みたいな発言やめてくれませんか。あなたという人間が、『男性』というだけで、そこまで女性に上から目線でものを言える根拠は、どこにあるのですか」

「家事は女のもの、みたいな性別役割分担意識はやめてくれる? たまにやったからってドヤ顔しないで。きっちり半分こなして、はじめて『やった』って言えるんだけど」

「女が誰でも性を売り物にして平気だ、みたいな偏見やめてくれます? それって女性に対する侮辱ですよ。少なくともそういう話をされて、わたしは大変不愉快です」

「褒めてるんだからいいだろうって感覚で、私の化粧やファッションについてあれこれ言ってきていますか? ごめんなさい、私にとっては、そんなふうに距離を縮められるのは苦痛です。馴れ馴れしさを感じます」

「あなたの性的ジョークからは、女性をモノ扱いしている傲慢さが感じられて笑えません。その失礼な態度、ご自分で自覚されていますか」

「すみませんが、酒席というだけで合コンみたいな雰囲気にするのはやめてくれませんか。男女が集まればすぐ、恋愛がらみの会話と雰囲気にされるのは苦手です。もっと人間同士の楽しい話はできないものでしょうか」

 

少々キツすぎるとお思いでしょうか。
わたしとしては、これくらいビシッと言って構わないと思っています。なぜならセクシュアルハラスメントを優しく男性に諭してみると、こちらの不快感情伝わらないという経験を、多くしてきているからです。
「うんうん、珠子ちゃん、ありがとうね」
彼らはそういって翌日から、またおなじセクハラを繰り返すのです。

毅然と、自分の不快感を、しっかり伝える。

もしそのことで職場の人間関係が悪くなり、不当な扱いを受けるようになったとしたら、すぐにセクハラ窓口や上司、人事に相談してください。
男女雇用機会均等法十一条は、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置が定められています。

雇用管理上講ずべき措置の内容として、公正労働大臣が指針を示しているのですが、平成二十五年の改正により、その指針が9項目から10項目に増強されました。セクシュアルハラスメントに対してより厳しい職場環境が求められている風潮がうかがえます。(平成27年現在)

 

十項目目の内容として、不利益取り扱いの禁止があります。

「労働者が職場におけるにセクシュアルハラスメント関し相談をしたこと又は事実関係の確認に協力したこと等を理由として、不利益取り扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること」

セクハラを訴えたことで仕返しをされたり嫌がらせをされることがあってはならない、そのことを労働者に周知しておかなければならない、というわけです。報復を恐れてセクハラ相談を躊躇しないようにとの配慮から生まれた、実効的な規定です。

セクハラを注意したことで嫌がらせや報復的な言動をされたなら、すぐに相談窓口、上司、労基署、雇用均等室に通知してください。あなたの権利を保護してくれます。

 

付記いたしますと、改正で新しく指針に加えられた内容として、次のものがあります。

「セクシュアルハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に応じ、適切な対応を行うようにすること。例えば、放置すれば就業規則を害するおそれがある場合や、性別役割分担意識に基づく言動や原因が背景となってセクシュアルハラスメントが生じる恐れがある場合が考えられる」

「これってセクハラだろうか」、「もやもやする気持ちは残るけれど…相談してよい内容かわからない」という場合は、ためらわずに相談してください。会社は「微妙な場合」も、相談に応じて適切な対応をとらなければならない義務があるのです。

「女性はこうあるべき」のような発言、「若さや容姿をけなされる発言」、逆に「若さや容姿をほめられる発言」、「女性らしい服装を促される発言」、「結婚や子供の予定をたずねられる」など、不快感をおぼえたらどれもまよわず相談してください。会社が真摯に相談にのらなかったら、雇用均等室にその旨も報告してください。

 

そして男性サイドにお願いしたい努力としては、もっと打たれ強くなっていただきたいということです。
日本の男性は、「恥」を重んじるサムライ文化をベースにお育ちになったからでしょうか。名誉を傷つけられること、否定されることにアレルギーをお持ちの方が多いように感じます。

日本男性は、とかく笑顔で優しくうなずいて、ご自身を肯定してくださる、ともすれば「自己主張のない女性」を好む傾向が強いようです。
しかしその風潮こそ、日本が男女平等指数100位以下をキープし続け、国際社会で通用しない「お人形さん」を増産し、企業で女性役員を育てられない土壌をつくっているのです。

女性に手厳しくされること、意見をぶつけられることに、もっと慣れていただきたいと思います。そして慣れていただくためには、女性サイドも「主張する」努力をしなければならない。
本当にどちらのアクションも大事です。

小学生の頃につくった、2本のひもを交互にひっぱると、よいしょ、よいしょとのぼっていき、ひもをゆるめると、するするとおりてくる「のぼり人形」というものがありました。このように、男女双方の協力で、全体意識を向上させていきたいものです。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
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