アサーショントレーニングの重要性~その一


二十年前に比べたら、わかりやすいセクシュアルハラスメントは減少傾向にあるのでしょうか。
たしかに職場であからさまに胸やお尻をさわられることも、酒席でお酌を強要されることも、減っているかもしれません。

しかし意識の点ではいかがでしょうか。
女性を外見と若さで「モノ」扱いし、女性性を軽んじる発言は絶えません。
とくに性的にみられたい「性・女性」と、性的に見られたくない「人間・女性」とで、まっぷたつに意見がわかれる不快感について、とかく男性はフェアな視点をお持ちになれないようです。
何が怖いのかはわかりませんが、必死で真実から目をそむけ、「性・女性」の考えだけを、「真正な女性意見」として、取り入れたがります。

しかし私が思うに、これは女性側の努力不足も起因してるように思えてなりません。
女性側の「きびしい意思表示」が、日本では圧倒的に不足しているのです。

女性サイドが性的不快感情を積極的にアピールしていかないからこそ、いまだ日本の男性は、グレーゾーンの苦情を「ごく一部の特殊な女性意見」とかん違いしてしまうのではないでしょうか。
結果、男性意識を「自分にとって都合のよい女性」の軸から動かそうとしないのです。

わたしの経験上、男性側から自ずとわかってくれるという「自然現象」は、残念ながらおこらないと断言できます。

女性がハッキリと拒絶し、キッパリと不快感を伝えて、しっかり意思表示をして、バッサリ切り込んで、はじめて男性の意識を、一歩立ち止まらせることができるのです。
そしてその男性がつぎに同じことを言おうとしたときに、ハッとあなたの一言を思い出し、言葉を選びながら用心深く、「女性を不快にさせない」フォーマルな会話ができるようになるのです。

女性サイドから厳しく意見することをひとつひとつ怠っていると、男性はいつまでたっても女性という存在を誤解し、軽んじたまま、意識改革は永遠に起こりません。
経験にまさる宝はないのですから。

 

世の中というのは、ひとりの小さなつぶやきから変化していくものです。
たしかに法整備、省令につきましては、わたしたちが個人的にかかわれることは限られています。いかに男女共同参画を強くのぞんだところで、一個人として立法決定権が付与されているわけではありません。

しかしもしあなたが女性で、いまの社会を「住みにくい」と思っているのでしたら、どうぞ声をあげてみてください。

もちろん訴訟に発展させることも大きな前進です。
世の中は判例の積み重ねで「常識」が変化していく。それはたしかな事実です。

しかしもし「自分にそこまでのパワーはない」「訴訟にまではできないけれど不愉快」とおっしゃるのでしたら、まずは隣の同僚や上司、あるいは夫や恋人や男友達に対してでも結構です。
ご自分の気持ちをアウトプットすることからはじめてみてください。

 

たとえばわたしはよく、複数人の食事会や飲み会で、「わたしはこれが好き」と話題に出した食べ物を、わたしのことをよく知らない男性が、「ああ、女のひとってこういうのスキだよねー」と、軽く不用意に「くくりたがる」発言をしたときは、ご注意申し上げることにしています。

「ごめんなさい。わたし、『女の人がこういうのスキ』っていうふうに、女性という枠で勝手にくくられるの、好きじゃないんです。単に『わたしの好み』というだけですから。どうしてそこで『女性』という狭い枠でくくりたがるのか不思議に思います」

ひとつひとつのシーンで、自分を持つこと、しっかりと自分の意見を言うことが大切です。

 

最近では、「アサーショントレーニング」という言葉を聞かれた方もいらっしゃるかと思います。
これは「自分と相手を大切にする表現技法」を意味します。

ちなみにアサーション(assertion)は 英和辞典で調べると「主張」「断言」など という意味が載っていますが、決して人間関係に波風をたてるものではありません。より良い人間関係を構築するためのコミュニケーションスキルのひとつなのです。

アサーショントレーニングは、「自分の考えや要求を表明する権利」に基づく、適切な自己主張のことです。一方的に自分の意見を押し付けるのでも、我慢するのでもなく、トレーニングを通じて、お互いを尊重しながら率直に自己表現ができるよう目指します。

これは一朝一夕でできるものではありません。

アサーショントレーニングは、常日頃から行っていないと、なかなか実践できないものです。何度も失敗を繰りかえし、もどかしさを抱えながらもトライしていると、少しずつ表現スキルが上達します。階段を一歩一歩のぼるように、コツコツと自分の気持ちを伝える努力をしていただきたいのです。

 

もちろん、職場での立場から、言及するのがむずかしいことは百も承知です。わたし自身がそれを嫌というほど経験し、眠れないほど悔しい思いをした夜が何度もあるからこそ、みなさまに今、申し上げられる立ち場だと思っています。

 

ご自身の頭で考え、ご自身の主張をしっかりといえる女性になってください。
世界で通用する、知性と芯のある人間になってください。
わたし自身に不足している自覚があるからこそ、ほかの女性に頑張っていただき、アベレージをあげてほしいのです。

これは提案ではなく、お願いです。
わたしは今、日本女性の悪い意味での「和を大切にする従順さ」に、ひじょうに危機感をおぼえています。

 

男女雇用均等法が成立したのは昭和六〇年。
第一回目の大改革が行われ、セクシュアルハラスメント条項が新設されたのは、今から十七年も前の平成九年です。

この大改革に携わったのは、当時厚生労働大臣官房審議官であった北井久美子弁護士ですが、彼女は21世紀財団、セクハラ・パワハラ防止コンサルタント養成講座の講義で、このセクシュアル・ハラスメント条項を組み込むのに、たいへん苦労したと語られておりました。

私たちは今、その成果を享受していることを忘れずにいたいものです。

 

 

(有馬珠子のあめぶろ)
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