あなたの中の「女らしさ」のイメージとは


二〇一五年夏、イギリスの新聞では「広告はいかにしてフェミニズムにハイジャックされたか。それも大々的に!」という記事が世界を駆け巡りました。

世界は女性の元気を求めています。それを受けて空前の女性パワー広告ブームが到来しているようです。
その実例をご紹介いたします。

ひとつめは、日本でもおなじみ、アメリカの生理用品ブランド、ウィスパーのCMです。とても興味深い仕上がりですので、ぜひみなさんにもご覧いただきたいと思います。

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その1:「女の子らしく」走ってみて(アメリカ)(約3分:日本語字幕)
とあるスタジオで、審査員たちは、複数のモデルたちにこう指示します。
「これからいくつか動作をしてもらうけど、あまり考えないで、思いつくままにやってみてね。……女の子らしく走ってみて」

するとモデルたちはみな、男性も女性も、そして若い少年モデルすら、手足をバタバタ動かしながら、くねくねと走るまねをします。

ところが同じ質問を「現役の女の子」である少女モデルたちに投げかけると、結果は大ちがい。少女たちはみんな生き生きと、力いっぱい走るのです。
審査員は少女たちにたずねます。
「女の子らしく走ってみて、とお願いしたのだけど、それってどんなこと?」
すると少女たちはこう言います。
「できるだけ早く走ること!」
そこでテロップがはいります。

―――体いつから「女の子らしい」ということは、侮辱的なことになったのだろう。

くねくねと走る真似をした少年モデルには、妹がいます。彼にたずねてみました。
「つまり君は、妹のことをバカにしているのかな?」
「まさか! 女の子をバカにはしたけれど、妹にそんなことは思っていないよ」

力いっぱい走った少女にも質問しました。
「女の子らしいっていいこと?」
「正直、いいことか悪いことはよくわからないかな。でも、悪いことな気がする。…ちょっと、嫌な思いをさせようとしている感じがするんだよね」

―――思春期、それは少女が自信をなくしてしまう時期。ウィスパーは、それを変えていきたい。

「女の子らしく」という言葉には、ときに、女の子を小馬鹿にする表現が含まれています。その言葉にまとわりつくネガティブなイメージが、成長期にある女の子の自尊心を傷つけ、可能性をつぶし、成長と共に萎縮させてしまうことはとても一般的です。このCMは、それを抑止しようとする意図をもつ、素晴らしい内容なのです。

このCMでは、「女の子」は「か弱く」「芯がない」「しっかりしていない」とする言葉を聞かされ続けたために、女の子自身も「女とはそういうものだ」と思い込んでしまう刷り込みの危険性に警鐘をならしてもいます。

さらに興味深いのは、身内に女性がいるにもかかわらず、男性たちは「身内だけはちがう」と主張しながら、無意識に女性差別をしているということです。
差別をしているその女性も、「誰かの身内」であるにもかかわらず。

ちなみにこのCMは、なんと、アメリカンフットボールの祭典「スーパーボウル」のテレビ中継中に放送されたとのこと。
女の子をテーマにしたフェミニズムのCMが、男性中心と言われるアメリカン・フットボールの、一年で一番重要な試合中に流されるとは、さすがアメリカですね。
二〇一五年現在、男女平等指数、調査対象145カ国のなか101位という日本では考えられない、夢のようなお話です。

このCMと同様に、わたくしも痛切に感じております。
日本男性の多くが「暗に押し付けてくる」「女らしさ」というイメージは、まさにこのくねくねと走る、「小馬鹿にする」女性像そのものなのです。

「か弱く」「かわいく」「自我を持たない」。

それを当然のものと考え、一個の人間に押し付けてくることが失礼であるという意識すら抱かない男性は、もはや国際的な視野から取り残されているといえるでしょう。

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おつぎはなんと、アラビア語圏から。
これはわたくし自身もモロッコで拝見した、生理用品ブランドAlwaysのCMです。

その2:娘から母に教えられたこと(アラビア語圏)(約2分半:下記に翻訳全文)

仕切りをはさんで、母と娘は、まったく同じ指示を与えられます。
「テーブルの上にいくつかのものがあります。女の子用じゃないものを外してください」

テーブルの上にあるのは、ギター、顕微鏡、車掌の帽子、自転車、サッカーボール、テニスラケット、ヘルメット、聴診器、理科のフラスコビーカー、ビデオカメラ……etc.。
娘と母親は、思案しながらチョイスします。

やがてふたりの間の仕切りが取り払われ、母と娘は、お互いがチョイスしたものの差を、目の当たりにすることになります。母親が選んだのは、ほんの少しの限られたものだけ。アイロン、ほうき、ポット……。本当に、ほんの数点だけ。
しかし少女のテーブルには、ほとんどすべてが残っています。

女性:(残すのは)これだけ。これが私たち用のもの。アイロン、ポット、ほうき……。

少女:お母さんは、全部外しちゃってる。

少女:どうして全部外しちゃったの? 本当にそう思ってるの?

女性:女の子にもできるけど、むずかしいのよ。

少女:私だったら一個も外さないかな。女性の写真家だっているし、パイロットも。

女性:そうね。

女性:もしかしたらあなたが正解で、私が間違ってるかもね。

少女:女の子にだってなんでもできる。

女性:あと2年もすればそう思わなくなるよ。

―――94%の女の子は、夢を実現できると信じています。その一方で実現できているのはたったの20%です――。

少女:大きくなったら何になりたい?

女性1:リポーターになりたかった。

女性2:画家に。

女性3:医者ね、実は。でも叶わなかった。

女性4:多分いい医者になれたと思う、私。

女性5:セラピストよ。でも……。

女性6:思春期になって、ちょっと自分に自信を持てなくなったの。

女性7:14歳になって、考え方が変わったの。突然、大人になった気がした。私にやっていいことと、やってはいけないことがあるって思ったの。

女性8:将来の夢すら変わっていった。

―――自信があれば、女の子はどんなことも実現できます。ALWAYSはそれをサポートします――。

女性:あなたの夢は?

少女1:科学者になりたい。とても利用価値があるから。

少女2:ファッションデザイナーになりたい。

少女3:私の夢は先生になること。

少女4:インテリアデザインを勉強したい。

女性:この子の言う通りね。私が間違ってたわ。

女性:女の人も仕事と家庭を両立できます。全てが可能です。

女性:私の中で「やめるな! がんばれ! がんばれ!」って言ってくれる声があります。夢が叶うまであきらめません。

―――今度はあなたの番です。世界に女の子の力を見せてあげましょう――。

女性:この子はきっと将来素晴らしいことをしてくれるわ。

ビデオの後半、娘のチョイスに驚いた母たちが、娘からの教えにうなずき、感謝するシーンが心に残ります。

女の子は成長する過程のどこかで、可能性を取り上げられ、いびつな型に押し込められ、そのために夢をつぶされてしまったという経験は多いでしょう。
「女だからといって、自分の可能性をあきらめなくていい」という母親の気づきは、これから母親が娘のよき理解者となり、なにより母親自身の人生を変え、社会を変える力へと発展する貴重なワンシーンであると思います。

このCMはアラブ系の女性にも、とても好評だったそうです。

すべての国の女性に、型を打ち破り、自分を信じるパワーを呼び起こしていただきたい。そう願い、日本の片隅でわたくしはエールを送ります。

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