「無礼講」という言葉はないと思うべし


忘年会シーズンが始まりますと、私は周囲に警告を発します。みなさま、酒席でのセクハラ・パワハラは大丈夫でしょうか、と。

今となってはほとんどの人が認識されているとは思うのですが、就業場所以外でも「職場」とみなされ、セクハラもパワハラも成立します。

厚生労働大臣の指針で「職場におけるセクシュアルハラスメント」の内容と典型例が示されていますのでご紹介しましょう。

 

「職場」というのは事業主が雇用する従業員が業務を遂行する場所です。従業員が通常就業している場所以外であっても、従業員が業務を遂行する場所であれば職場にふくまれます。また、アフターファイブの宴会であっても、実質的に職場の延長線上のものであれば、職場に該当しますが、その判断にあたっては、職務との関連性、参加者、参加が強制的か否かを考慮して個別に行う必要があります。

職場の例・取引先の事務所、接待など取引先との打ち合わせをするための飲食店、出張先、業務で使用する車中(営業、バスガイドなど)、顧客の自宅(保険外交員など)、取材先(貴社)など。

 

ご確認いただけましたでしょうか。

客観的に見て、酒席で気がゆるんでのセクハラほど見苦しいものはありませんから、各自襟を正して、サムライのような心持ちで酒宴にのぞんでいただきたいと思います。

最近では女性上司から男性部下へのセクハラも問題視されていますし、平成二十五年には厚生労働省男女雇用均等法の改正指針により、同性間のセクハラも盛り込まれましたので、気を付けるべきは全員といえましょう。

日本には「無礼講」という不思議な言葉がありますが、これは少なくとの私の辞書にはありません。誰の辞書にもあるわけではないので、気をゆるめないほうがよろしいかと思います。

ちなみにネイティブに聞いてみたところ、「無礼講」の英和辞書での直訳は「unrestricted binge」と出るのですが、これは一般的ではなく、あえて使うなら「act rudely」だと言われました。これは「無礼な態度」ということです。

酒席でのセクハラは「無礼な態度」です。その方の品性や本性がむき出しになる踏み絵となる場所ですから、注意が必要です。

「酒は飲んでも飲まれるな」。

 

基本的に、お酒というのは大人の飲物です。飲酒した程度で理性が崩れ、不遜な質問やなれなれしい態度、はては無礼なセクハラが発動されるのであれば、その方は「大人」とは申せませんので、飲酒する資格はありません。お酒を品よく理性的に飲める人こそが、粋な、真の大人といえるのです。

アルコールに弱い人は最初から飲まないか、「医者にとめられているので」などの断り文句を用意しておくべきです。

あるいは、「ビールなら二杯まで」「日本酒なら一合まで」など、自分が理性を保てる限度の適量を把握しておくことを推奨いたします。

初めてお酒にチャレンジする高校生ではないのですから、社会人となった以上は自分の適性酒量は自分で管理するべきです。自己コントロールができることも大人の条件のひとつなのです。

 

ちなみに「お酌を強要」までいかずとも、当然ですが性的会話を投げかけるセクハラは許されません。ホステスさん化して聞き役を押し付けるホステスハラスメントは不可。女性性を見下すセクハラジョークやその他、女性への押し付けとなる性別役割分担意識も危惧されますので気をつけましょう。

 

性別役割分担意識

(例1)女性がサラダや料理を取り分けてくれるのを暗に期待して待つ。

(例2)女性が焼き鳥盛り合わせの串をバラすのを暗に期待して待つ。

(例3)女性が空いたお皿を片付けてくれるのを暗に期待して待つ。

 

酒席でホステス役の押しつけはせずとも、メイド役の押しつけに罪悪感は抱かない……という風潮はまだ生きています。公で女性をメイド扱いすることのないよう、気をつけてください。

 

「そうはいっても、焼き鳥の串は本数や種類が限られているし、自分が一串とるのは気が引けます」

このように思われる方もいらっしゃるでしょうか。

まず、サラダや料理等はそれぞれご自分で取り分けましょう。焼き鳥の串など、数が限られてどうしてもサーブが必要なものに関しては、上司や管理職など「権力上位者」が率先してお取り分けなさるとスマートです。

「みんなが日頃がんばってくれているから、今日くらいはねぎらわせてくださいよ」

このようにひと言、部下への感謝の言葉を添えれば、人望もアップし、その後の仕事も回転がよくなることと思いますが、いかがでしょうか。