●「共感力の個人差」~あなたの周りに潜む善玉サイコパス~ Part1


共感力には個人差がある。細やかな気配りで場をなごませてくれる人もいれば、ぎょっとするような無神経な発言で、周囲を凍り付かせる人もいる。

私の知人で、なかなかに共感力の怪しい人物がいる。
それは良い悪いの問題ではなく、生まれ持った性質というしかないのだろうか。

彼女……Kさんは海外生活が長かったので、最初は「日本人の感覚とは少し違うのだろう」くらいに考えていた。しかしやがて、「海外」云々の問題ではないことに気づかされる。むしろその背景がネックとなり、本質を見抜くことに遅れた。

Kさんは、特に何か大きな問題を起こすわけでもないし、積極的に他人を害するわけでもない。しかし、何かがどこかズレている。どこがズレているかと問われれば、ひとつひとつは非常に微細なズレ方で、ひとくくりで「こう」と説明できない奇妙な違和感があるのだ。

 

彼女はつねに、自分の感情と欲求が最優先。どうやら相手の立場に立って斟酌したり、気配りをするということができないようなのだ。

いくつか具体例をあげよう。
私と彼女は、PCの学校でクラスメイトだったのだが、クラスの〇〇君が体調を崩し、しばらく入院することとなった。それを知ったKさんは、同じくクラスメイトで一番成績のよいSさんに、こう言った。
「Sさんさぁ、〇〇君が休んでいる間のノート、作ってあげてくれる? そしたら〇〇君が退院してきたときすぐ、授業に溶け込めるじゃない?」

………これのどこが不正解か、おわかりになるだろう。明確な突っ込みポイントがあるのだが。

まず最初に、Kさん自身の意識を説明しておこう。
Kさんは、自分がとても善良で素晴らしい提言をしたと思っている。なぜなら自分は病床の〇〇君を思いやり、〇〇君のためになる有意義なプランを提案したからだ。Sさんは一番成績がよいし、その彼女にノートを作ってもらえれば、分かりやすい整理されたノートができる。〇〇君にとっては大助かりだ。自分は何というグッドアイデアが浮かんだのだろうか。自分、お手柄だ。

ちなみに私の考えを述べる。
Sさんは遠くから学校に通っている(これはKさんも知っていた事実)。往復の通学時間だけでもかなりのロスになる中、トップの成績を保っている。おそらく相当プライベートな時間を削り、苦労して勉強しているのだろう。クラスは課題も多く、みんな自分の課題でヒイヒイ言っている。Sさんはそのような中で人一倍熱心に勉強している。他人のノートを作る暇などあるはずもない。

〇〇君のためにどうにかしてあげたい気持ちは私とて同じだが、一方でSさんへの配慮や思いやりは、一体どこへ消えてしまったのだろうか。もし彼のために何かしてあげたいのなら、自分でノートを作るべきだろう。たとえSさんが作るノートに劣ったとしても。

 

しかしKさんは、自分が労してまで〇〇君のためにノートを作ってあげようという気は、さらさらない。指図することはできても、他人のために自分が汗することはできない。いや、する気がないのだ。

Kさんは、「〇〇君への思いやり」という着ぐるみを着て、自己中心的なダンスを踊っている。これはほんの一例なのだが、このようにしてKさんはつねに周囲をひっかきまわし、迷惑をかける。

たしかに〇〇君を気遣う気持ちは嘘ではないのかもしれない。しかし対象を広げての、複数人の立場や気持ちを推し量る能力は不足しているようなのだ。
あるいは、共感力の併用ができないのか。
よく「ふたつの動作を同時にできない」という人がいるが、それと同じようなもので、「〇〇君への思いやり」にフォーカスすると、Sさんへの思いやりが消えるという、無言の「併給禁止規定」がKさんの中に存在するのだろうか。

SさんはKさんより二十歳近く年下で、性格もまじめで温和であったから、その場ではハッキリとは断れなかったようだ。結局ノートをつくるまでには至らなかったが、これ以外にもSさんは、Kさんから数々の類似被害を被った。

後にクラスで飲み会が計画されたのだが、Sさんは内輪の仲間数名にこっそりと、「Kさんが出席するなら、私は出たくありません」と耳打ちした。しかしKさんに声をかけないわけにもいかないので、結局日を分けて、内輪のメンバーだけでもう一度飲み会を開くこととなった。私はその調整に苦労した。

学校が終了してからもKさんとはたびたび接する機会があったのだが、彼女にはさまざまな不思議な言動が見られた。

困惑するのは、そのどれもが大問題といえるほどの内容ではなく、しかしだからこそ、対象となった人間にとってはストレスがたまる出来事ばかりということだ。

加えてKさんには、「自分の発想がズレている」という自覚がない。彼女はつねに自分が正しいと信じて疑わない。

一応Kさんのためにフォローしておくが、彼女は自己顕示欲を誇示したいとか、他人をコントロールしたいなどの、悪意を抱いているわけではない。ただ自分が「いい」と思ったことを、ストレートに発現しているだけなのだ。だからこそ「たちが悪い」といえる。

(Part2へつづく)

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あなたの周りに潜む善玉サイコパス: 共感力の個人差

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