●「共感力の個人差」~あなたの周りに潜む善玉サイコパス ~Part5


(つづき)
私はおいしいコーヒーをいただき、パイプいすに座りKさんと雑談をしていた。Rさんは会場スタッフと話すために席をはずしていた。
話題はお互いの仕事の話になり、私はKさんに近況をたずねた。

当然といえば当然なのだが、Kさんは会社の人たちとうまくいっていないらしい。Kさんは現在の状況について、せきを切ったかのように話し始めた。
自分がいかに会議のとき袋だたきの目にあっているか、最初は慕ってくれた後輩がどのように意地悪な態度に変わっていったか、自分がどれだけつらいのかなど、自分の悲劇をとうとうと語った。

 

職場での人間関係不和は、気の毒である。
メンタルヘルスに関わる、避けることのできない「つらい日常」だ。私はKさんに可能なかぎりアドバイスをした。
「誰か相談できる上司はいないのか」「パワハラ窓口など、相談できる場所はないのか」「異動願いを出せるような状況か」など、じっくりと話を聞き、現段階で対処できる部分をくわしくアドバイスした。そのうえで解決しないようならば、信頼できる労働団体を紹介するからと、Kさんを安心させた。
Kさんは、少し涙ぐみながら、「うんうん」と、聞いていた。

 

私も当時、Kさんと同じように、職場でソリの合わない先輩がいた。
だからKさんの気持ちもよくわかり、自分の受けたケースもKさんに似ていると、類似事例をKさんに打ち明けた。Kさんは自分と同じ状況にほほえみをうかべながら、納得したようにうなずいて話を聞いていた。

ところが。
話題がKさんのケースとは重ならない、私独自の仕事トラブル内容にさしかかったとき、信じられないことが起きた。

とたんにKさんは、すべての関心をなくしたかのように無表情になり、私がその内容を話し始めてから1分もたたないうちに、私が話をしている真っ最中、なんと無言で席を立ち、その場から立ち去ったのである。
そしてツカツカと早足で別の輪に歩み寄り、ほかの人に話しかけて立ち話をはじめた。

「ごめんなさい、ちょっと化粧室に……」 や、「失礼、あの人に用事があって」  などの断り文句は、いっさいなしである。

「!!!??%&$#?!」
私は驚いてKさんのところに行き、「ちょ、ちょっと、私の話聞いてなかった?」と声をかけると、Kさんは私をチラとも見ずに、真正面を向いたまま、「聞いてたよ」と単調に答え、別の人と会話をつづけた。

 

唖然とする話である。
しかしこれこそが善玉サイコパスなのだ。

おそらくKさんは、「自分のかわいそうな体験談」と「自分とかぶる類似例」にしか興味がないのだろう。

他人のことには興味がない。他人のつらい状況にも一切興味がない。そして興味がないから、断りもなく立ち去っただけのことなのだ。
だって関心のないことを、自分は聞いていたくないのだから。
ここでもKさんは、ただ子供のように素直に、自分の欲求と感情を最優先に行動したにすぎない。

 

今まで自分の話を聞いてくれて、親身にアドバイスをしてくれた知人の悩みに対し、今度は自分が相談にのってあげたい、相手を楽にしてあげたいという誠実な気持ちは、Kさんの心には存在しない。
Kさんの心には、「ギブ&テイク」の概念がない。

「他人が自分に親切にしてくれるのは当たり前」「でも自分は他人に何もしないのが当たり前」なのだ。

 

Kさんは他人の親切や善意を、エイリアンのように貪欲にむさぼる。
蚊ですら「飲みましたよ」のサインとして、かゆみ成分を注入してくれるものなのだが。
しかしKさんは、他人の思いやりをむさぼり尽くしたら、ただ無造作にストローを捨てて立ち去るだけ。

Kさんは、ナイフで人を傷つけるわけでもないし、殺人を犯すわけでもない。大声をあげて怒鳴り威嚇するわけでもない。しかし他人に寄生し善意をむさぼる。

婉曲に表現するならば、「子供のような自己中心性」といえるのだろう。しかしこうも言えないか。
「思いやりを食い散らかすエイリアン」。これこそが善玉サイコパスの正体だ。

(Part6へつづく)

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あなたの周りに潜む善玉サイコパス: 共感力の個人差

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