●「共感力の個人差」~あなたの周りに潜む善玉サイコパス ~Part3


(つづき)
善玉サイコパスは、子供のように無邪気で自己中心的である。それゆえに、良くも悪くも自分の感情に正直だ。

あるとき友人Aは、Kさんから知人のパーティーに誘われた。それはKさんの外国人友達が集う、自宅で開かれるホームパーティーだった。
「私は英語が苦手だから……」と、Aさんは最初はためらっていた。しかしKさんから「あそこのホームパーティは、いつも手作り料理がすっごくおいしいの。行ってソンはないよ」とつよく勧められ、ドキドキしながらも承諾した。

Aさんは当日のためにと、苦手だった英語をあらためて勉強しなおし、パーティ当日は早起きし、頑張っておしゃれをして電車に乗り込んだ。そして数駅過ぎたあたりで、車中でKさんからメールがきた。
「やはり私は今日行かないので、楽しんできてください」

「??!!!」
Aさんは混乱した。
Kさんは、「場所は教えるから大丈夫です」と、Aさんに外国人宅の場所をメールで伝えた。

しかし考えてもみてほしい。知り合いもいない初対面の外国人自宅ホームパーティに、ひとりで乗り込めるツワモノがどれだけいるだろうか。
結局Aさんは電車を折り返し、そのまま帰ったという。

 

Aさんは、後日Kさんに会ったとき、この件について彼女に苦情を言った。しかし恐ろしいことにKさんは、自分がAさんに迷惑をかけたという自覚がないのだ。
「だって、パーティ宅の場所は教えたんだし、私の名前を出せば入れるし、参加できるじゃない」
AさんからたしなめられたKさんは、自分が責められたことに対する不満を爆発させた。
「私は怒られるようなことは何もしていない」、と。

善玉サイコパスのKさんは、Aさんの気持ちを察することができない。
「英語の苦手な人が、外国人の自宅パーティに初めてひとりで行く心細さ」もわからなければ、「知り合いもなく、周りが初対面の人だらけの不安さ」も、わからない。
さらには「キャンセルするのであれば、せめて家を出る前、早い時間にメールをくれれば、身支度もしないですんだし電車賃もかからずに済んだ」というAさん側の事情も、何ひとつしん酌できない。

 

善玉サイコパスは、他人の都合に興味がない。
自分にとって心地よい、自分サイドの欲求と感情がすべてである。
それゆえに他人の都合や心情を、ためらいもなく自分の感情で上書きする。

「自分が気分良ければ、他人もおなじ」「自分が興味あることは、他人もおなじ」 と。
「自分は外国人宅パーティーに行くことに緊張しない」→ 「だからAさんも緊張しない」。
「自分はあの人たちと仲良しだ」→ 「だからAさんもあの人たちとはすぐに仲良し」。
どうやらKさんの心の中には、このようなご都合主義の法則がマニュアル化されているようなのだ。
彼女はすべての事柄を、自分ベースの思考パターンで構築する。そして他人の気持ちを、極彩色の「自分カラー」でベタベタと塗りつぶしていく。

要するに、他人への思いやりや共感性に乏しいのだ。

もし今回のAさんの件について、Kさんにコトの重大さを教えたいのであれば、それはアウトな理由をひとつひとつ箇条書きにしたうえで、上記のように具体的に理由を付記し、パワーポイントでも使い、くわしく説明するほかない。

しかしそれすらも、注意が必要だ。
Kさんに注意したいのならば、まるで子供に接するように、優しく優しく、かんで含めるように教えなければ、下手をすればこちらが「意地悪な加害者」に仕立てあげられてしまうことだろう。
なぜならば善玉サイコパスは、よくいえば「子供のように無垢で傷つきやすく」、悪くいえば「被害者意識が強い」という特徴を有しているから。

彼ら彼女らは、少しでも「自分のアラ」を指摘されるシーンに直面すると、被害者意識をまるだしにして、感情的にさわぎたて、自己の正当性を拡散する。まるで自分がかわいそうなシンデレラであるかのように。

 

Kさんも例にもれずだ。
困ったことにKさんは、Aさんの件をいろいろな人に吹聴していた。
Kさんの言い分はこうである。
「自分は好意から、わざわざAさんにすてきなパーティーを紹介してあげたのに、Aさんはその恩をあだで返し、自分に文句をつけてきた」

驚きの発想だが事実である。Kさんは、自分がAさんからひどい意地悪を受けたかわいそうな被害者として、自らの正当性を感情のおもむくままにアウトプットしていた。

さて、これがふたたび困るところなのだが、根本的にKさんに悪意はない。たとえば、「前からAさんのことが嫌いだから、悪口を言って評判をおとしめてやろう」などという、意地の悪い謀略から拡散しているわけではない。
Kさんはいじめられた子供さながらに、傷ついた心を内に秘めておくことができないだけなのだ。
だって「デリケートなわたし」は、傷つけられた事実をみんなに伝え、優しくなぐさめてもらわなければ、とても平静ではいられないかよわいお姫様なのだから。

そこに「大人のモラル」はない。
Kさんは、「なぜAさんが怒ったのか」ということを、Aさんの立場に立ち、論理的に深く考察することはしない。またAさんと膝を突き合わせて話し合い解決をはかるなど、建設的な方法にチャレンジする意識も持ちあわせてはいない。

そこにあるのは、「傷ついた自分」へ向かう感情ベクトルだけだ。
「意地悪されたー!」「ひどい目にあわされたー!」「ねぇ、あの人ひどいよねぇ?!」「だって私はこんなにAさんに親切にしてあげたのに!」

Kさんは子供のように無邪気で、自分の感情に素直だ。傷つけた相手は悪者で、自分が被害者であることをアピールする。そして自分にやさしくしてくれる味方や同情者を得ようと、躍起になる。
常識的な視点を備えた大人が、少しでもKさんに意見しようものなら大変だ。その人たちはKさんの「ジコチュウ魔法」にかけられ、あれよあれよという間に全員が、「意地悪な継母」に変身してしまう。

 

Kさんの出身大学を教えよう。
それは「自分大学」である。彼女は「自分大学、自分学部、自分学科」出身だ。そして卒業論文テーマは「わたし」である。
しかし彼女は永遠に、「自分大学」を卒業する気がない。

(Part4へつづく)

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あなたの周りに潜む善玉サイコパス: 共感力の個人差

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